後半も流れは神戸のまま。前半に引き続き、小林友希や槙野智章の長い縦パスで深さを出し、セルジ・サンペールのサイドチェンジで幅を利かせた。相手を下げたり、広げたりしながらギャップを突くこともできていた。それでも得点を奪えなかったのは、相手にとって想定内だったからかもしれない。
福岡の長谷部茂利監督は「もう少し（神戸に）ボールを持たれて外されるのかなと思っていたけれど、選手たちがよくやったと思う」と感想。ボランチの前寛之は「誰がボールを持っていて、どの選手が間をのぞいているか。全員で確認しながら状況に合わせてファースト（ディフェンダー）を決めて連動していく守備を見せられたと思う」と振り返り、古巣対決の宮大樹は「引き分け以上にもっていくと監督からは言われていたので、そこを常に意識していました」と話した。
つまり、福岡は「勝点１以上」を狙い、まず失点せず、次にチャンスがあれば得点を奪うという、アウェーチームらしい割り切った戦い方ができていた。
得点が奪えなかったのは福岡にとって想定内だったから
一方の神戸は、ホームで勝点３を奪いにいった。だが、監督や選手のコメントを見ると、２試合連続の失点にファーカスし過ぎてしまったのかもしれない。長いシーズンを考えれば当然のアプローチだが、この１試合だけを見るなら無失点にこだわったことで「勝点１以上」の戦い方になったと言えそうだ。
本数が多ければ良いというものではないが、この試合でのシュート数は福岡の11本に対して、神戸は６本だった――。
取材・文●白井邦彦（フリーライター）
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