ウイングバックの先発は、鈴木雄斗、松本昌也、小川大貴が争うか。昨季はCBでも活躍した鈴木が右、松本が左に入ったが、小川を含め３選手いずれも攻撃力が強みで、左右を問わない。左は縦の突破力が武器の高野遼も控える。

　崩しだけではなく、ゴールハントの役割も担うシャドーは、タレント揃いで競争が激化しそうだ。昨季キャリアハイの11得点を挙げた山田大記と６得点の大津祐樹、大森晃太郎が先発候補だが、清水から完全移籍した金子翔太、大宮から加入したアタッカー黒川淳史もポテンシャル十分。

　全国屈指のテクニック集団静岡学園で10番をつけ、この冬の全国高校サッカー選手権でも左サイドで躍動したルーキー古川陽介は、生粋のドリブラー。パスサッカーにアクセントをつけるプレーと、プロの舞台での成長が楽しみな選手だ。

　陣容は３分の１の選手が入れ替わったが、昨季の主力のほとんどが残った。しかし、例外はFW陣。昨季不動の１トップとして22得点を挙げてJ２得点王に輝いたルキアンが福岡に移籍。ゴールだけではなく、ポストプレーと前線での守備、果敢な動き出しでチーム全体のモビリティや連動を促し攻撃を牽引していただけに、その穴は大きい。サブの小川航基もチームを離れ、１トップの人材は大きな懸案事項だ。
 

　ポスト・ルキアンの大きな期待を背負うのが、横浜（籍は浦和）から加入した元日本代表の杉本健勇。「日本代表に返り咲くために今年１年死ぬ気でやりたい」と意気込む長身ストライカーは、キャンプのグルージャ盛岡との練習試合初戦でハットトリックを演じるなど気を吐いている。

　５日のモンテディオ山形戦では、覚醒が待たれるコロンビア人ＦＷファビアン・ゴンザレスが２得点。今季横浜FCから加わったジャーメイン良も１トップ候補だが、杉本が１歩リードか。いずれにしても、新１トップの決定力といかに早くチームにフィットできるかが、磐田の浮沈の鍵を握る。

「先発選出は、コンディションや選手のクオリティ、チームの戦術理解度が基準になる。昨季の先発メンバーのコンビネーションもうまく利用していきたい」と伊藤監督。自身にとって初めてのJ１で、どんな選手起用、采配を見せるのか、その手腕が注目される。

取材・文●高橋のぶこ

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