もちろん、来季J１でのブレイク候補が、今季J１でプレーしていた選手ばかりとは限らない。むしろJ２で経験を積んだ選手にこそ、候補は数多く潜んでいるのかもしれない。

　その筆頭格と言うべきが、川崎颯太（京都）である。トップ昇格１年目の昨季は少しずつ試合に絡み、同時にU-19代表キャンプでも強度の高いプレーを披露。早くから才能の片鱗を示していたが、今季曺貴裁監督の下、晴れてアンカーに定着し、１シーズンフル稼働した。京都のアカデミー出身らしい高い技術に加え、球際の強さも魅力的な選手だ。来季、京都が昇格１年目にして台風の目となるようなら、その要として一躍注目を集める可能性を秘めている。

　また、J１クラブからの期限付き移籍によってJ２でプレーしていた選手のなかにも、楽しみな存在を見つけることができる。いずれも清水からの期限付き移籍だった高橋大悟（北九州）と、成岡輝瑠（相模原）だ。

　高橋は、一昨季途中から北九州の中心選手として活躍。レフティらしく右サイドを主戦場とし、今季はチャンスメイクだけでなく、チーム最多の10ゴールを記録した。古巣復帰へ機は熟したかに見えるが、果たして清水はどう判断するのだろうか。
 

　一方の成岡は、今季途中から相模原でプレー。ボランチとして効果的な縦パスを打ち込むだけでなく、自らも前へと積極的に持ち出し、攻撃に推進力を加える存在となっていた。2019年のU-17ワールドカップに出場した選手のなかからは、前述の田中や藤田譲瑠チマ（徳島）らが早くもJ１で実績を残しているが、成岡が元チームメイトに続く可能性は十分にある。

　今季残留争いを強いられた清水に、長い目で見て若手にチャンスを与える余裕があるのか。そのあたりも、若い才能がJ１で開花するか否かのカギとなりそうだ。

文●浅田真樹（スポーツライター）

【PHOTO】期待のルーキーを一挙紹介！ 2022シーズンJクラブ内定の「高校・ユース＆大学」の新卒新人をチェック！