ジーコ FIFA会長選出馬表明 母国ブラジルの反応は冷ややか

カテゴリ:ワールド

沢田啓明

2015年06月15日

「何をどう改革するのか、肝心な点がはっきりしていない」

FIFA会長選への出馬を表明したジーコだが、ブラジル国民の多くはこのニュースを冷ややかに受け止めている。 (C) REUTERS/AFLO

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 6月10日午後、リオデジャネイロのCFZ(ジーコ・サッカーセンター)で行なわれた記者会見には、地元ブラジルはもとより南米、欧州、日本などのメディア関係者が100人以上も集まり、20台近いTVカメラが林立していた。
 
 フラメンゴとセレソンで一時代を築いた男は、例によって表情を変えることなく訥々と話し始めた。
 
「FIFA会長選挙に立候補する意思があることを、改めて表明する。私のように選手、監督として長年サッカーに携わってきた現場の人間が、FIFAを清潔で透明性の高い組織に作り変えなければならない」
 
「ただし、会長選挙に立候補するには5協会以上の支持が必要、とする現在の規則が変更されることが条件となる。この規則のせいで、候補者は選挙前から各国の協会に当選後の利益供与を約束しなければならない。これが、賄賂の温床となっている」
 
「自分はブラジル・サッカー連盟(CBF)との関係が良くないから、CBFの支持を得られるとは思っていない。しかし、過去、日本、トルコ、ウズベキスタン、イラクなどで仕事をしており、私を支持してくれる人は世界中にいるはずだ」
 
「仮に選挙の規則が変更されず、立候補を断念した場合は、友人プラティニ(UEFA会長)を支持する」
 
 6月2日のジョセフ・ブラッターFIFA会長の辞任表明(ただし、新会長が選出されるまで職に留まる)を受けて、自身のフェイスブックで「まだ思いつきの段階だが」と断りながらも立候補をほのめかしたジーコが、条件付きではあるがFIFA会長選挙出馬を正式に表明したのである。
 
 このニュースにブラジル国内で最もポジティブに反応したのは、フラメンギスタ(フラメンゴファン)、そしてジーコと親しい選手や元選手。以前からFIFAとCBFの不正を厳しく批判してきたロマーリオ(現在は上院議員)やブラジル代表CBチアゴ・シウバなどが、さっそく支持を表明した。
 
 しかし、ブラジル国内のメディアと国民がこぞってジーコの挑戦を熱狂的に支持し、さらには当選を信じているわけではない。
 
 リオ在住のあるスポーツ記者は、「自分はフラメンギスタで、ジーコの崇拝者」と前置きしたうえで、「会長になったら何をどう改革するのか、という肝心な点がはっきりしない」と指摘。
「勇気は評価するが、国内外での政治的基盤があまりにも弱い。当選するかどうか、という以前に、現在の規約では立候補することすら不可能。また、FIFAがジーコのために選挙の規約を変えるとは思えない」
 と首を傾げる。「日本やイラクの協会は、ジーコを支持するのか」と逆に聞かれ、「その可能性は高くない」と答えると、顔をしかめた。
 
 リオ以外のメディアと国民の反応は、もっと冷ややかだ。
 
「3回もワールドカップに出場して一度も優勝できなかった」という批判があり、とりわけ1986年メキシコ大会の準々決勝フランス戦でPKを失敗した印象が強い。
 
 それを引き合いに出し、「もし選挙に出ても、またプラティニに負けるだけ」と揶揄する声や、「FIFAは、(ブラジル人の)アベランジェが会長になって急速に腐敗した。CBFのマリン前会長も、すでに刑務所の中。こんな国の人間が当選するはずがない」という自虐的な見方もある。
 
 日本代表を率いた2006年ドイツ・ワールドカップで惨敗を喫し株を下げたとはいえ、ジーコへの期待度が最も高いのは日本人かもしれない。
 
取材・文:沢田啓明
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