決して“スペインの試合ではなかった”
なんとも、悔しい敗戦だった。
選手個々が上手いうえに、賢くて強い。そんなスペインを相手に前半はよく耐え凌いだ。無暗なプレスはあっさりとかわされそうな状況でも焦れずに戦えた日本は、精神的にもタフなチームに映った。
なかでも素晴らしかったのは右サイドバックの酒井。対面したダニ・オルモの突破を阻止し、相手の左サイドバックであるククレジャにもプレッシャーをかける働きぶりは前半に限ればパーフェクトに近かった。
立ち上がりからスペインにボールを支配される時間帯は多かったが、イエローカードに値するファウルで止めるシーンはなく、クリーンなファイトで文字通り耐え凌いだ。39分に決定機を作られたとはいえ、最初の45分間は決して“スペインの試合ではなかった”。
後半に入っても、焦れずに戦えた。VARで吉田の正当なタックルが認められたシーンについては、「よくぞそこで勇気ある守備をした」と称賛したい。要所を締める吉田のディフェンスは貫禄さえ感じられ、堅守が持ち味の今大会の日本を象徴するものでもあった。
スペインの波状攻撃を受け止める形となった65分頃もチームとして粘り強く対応。まさに窒息しそうな局面でも諦めず、ギリギリのところで跳ね返した。終盤にいくつか迎えたピンチも乗り切り、90分を0-0で終えた戦いぶりは悪くなかった。
選手個々が上手いうえに、賢くて強い。そんなスペインを相手に前半はよく耐え凌いだ。無暗なプレスはあっさりとかわされそうな状況でも焦れずに戦えた日本は、精神的にもタフなチームに映った。
なかでも素晴らしかったのは右サイドバックの酒井。対面したダニ・オルモの突破を阻止し、相手の左サイドバックであるククレジャにもプレッシャーをかける働きぶりは前半に限ればパーフェクトに近かった。
立ち上がりからスペインにボールを支配される時間帯は多かったが、イエローカードに値するファウルで止めるシーンはなく、クリーンなファイトで文字通り耐え凌いだ。39分に決定機を作られたとはいえ、最初の45分間は決して“スペインの試合ではなかった”。
後半に入っても、焦れずに戦えた。VARで吉田の正当なタックルが認められたシーンについては、「よくぞそこで勇気ある守備をした」と称賛したい。要所を締める吉田のディフェンスは貫禄さえ感じられ、堅守が持ち味の今大会の日本を象徴するものでもあった。
スペインの波状攻撃を受け止める形となった65分頃もチームとして粘り強く対応。まさに窒息しそうな局面でも諦めず、ギリギリのところで跳ね返した。終盤にいくつか迎えたピンチも乗り切り、90分を0-0で終えた戦いぶりは悪くなかった。
もしかすると、視覚的には面白くない試合だったかもしれない。ただ、サッカーにはこういうゲームもある。パスワークに長けたスペインの持ち味を消すような守備をベースに日本がカウンターを狙う。これも戦い方のひとつであり、決して消極的な選択肢ではない。敵を研究したうえでの戦略であり、それをそれなりに実践できていた日本のパフォーマンスにはむしろ醍醐味があった。
しかし、延長後半、日本の足も止まってきた時間帯にアセンシオにゴールを奪われた点はいただけない。いくら奮闘しても結果がすべての世界で、0-1の敗戦は褒められないだろう。惜しむらくは途中出場の上田、前田、三好がそこまで目立たなかったところ。交代カードがやや貧弱に映ったのはこの試合だけではなく、これが言わば今大会の日本の弱点と言えた。
日本が緩んだ瞬間を見逃さず、きっちりと決めてくるスペインの底力を見せつけられた印象だ。これが世界との差なのだろう。“途中出場”のアセンシオが決勝点を決めるあたりがひとつのメッセージに映る。ただ、一方で──。スペインを疲弊させ、苛立たせた戦いぶりは選手たちにとって大きな財産になるのも事実だ。こうした戦いを経て、日本サッカーは強くなれるかもしれない。
下を向くな。スペインに敗れても、君たちはまだ死んでいない。メキシコとの3位決定戦にすべてをぶつけてほしい。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)
【日本代表PHOTO】東京オリンピックに挑む、選ばれし22選手を紹介!
しかし、延長後半、日本の足も止まってきた時間帯にアセンシオにゴールを奪われた点はいただけない。いくら奮闘しても結果がすべての世界で、0-1の敗戦は褒められないだろう。惜しむらくは途中出場の上田、前田、三好がそこまで目立たなかったところ。交代カードがやや貧弱に映ったのはこの試合だけではなく、これが言わば今大会の日本の弱点と言えた。
日本が緩んだ瞬間を見逃さず、きっちりと決めてくるスペインの底力を見せつけられた印象だ。これが世界との差なのだろう。“途中出場”のアセンシオが決勝点を決めるあたりがひとつのメッセージに映る。ただ、一方で──。スペインを疲弊させ、苛立たせた戦いぶりは選手たちにとって大きな財産になるのも事実だ。こうした戦いを経て、日本サッカーは強くなれるかもしれない。
下を向くな。スペインに敗れても、君たちはまだ死んでいない。メキシコとの3位決定戦にすべてをぶつけてほしい。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)
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