［国際親善試合］U－24日本 ６-０ U－24ガーナ／６月５日／ベスト電器スタジアム

　五輪本番で当たる南アフリカを“仮想”して組んだU－24ガーナ代表戦は、６-０の圧勝に終わった。

　急遽組まれたA代表とのチャリティマッチ（０-３）から中１日、しかも北海道から福岡への移動が悪天候で大幅に遅れるという難しい状況のなか、攻守で圧倒し、もっと大差がついていてもおかしくない内容だった。

　まず際立ったのが、この試合で初めて先発した酒井宏樹、吉田麻也、遠藤航のオーバーエイジ３人のパフォーマンスだ。

　右SBの酒井は、ワンランク上のアジリティとインテンシティを披露して、高い位置でボールを奪取し、それが素早い攻撃にも繋がった。効果的なオーバーラップも光った。

　CBの吉田は、DFリーダーとして最終ラインをコントロールし、自身も空中戦で抜群の強さを発揮。相馬勇紀が挙げた４点目の起点となった堂安律への縦パスも秀逸だった。

　そして、田中碧とダブルボランチを組んだ遠藤は、的確な読みとポジショニングでピンチの芽を潰し、シンプルながら淀みのないパスワークで攻撃をコントロール。３月のアルゼンチン戦で出色のプレーを見せた田中よりも、やはり存在感では上回っていた。

　この３人を中心に後ろが安定したことで、攻撃陣も伸び伸びとプレー。右から堂安、久保建英、相馬と並んだ２列目が順番にゴールを挙げると、負けじと１トップの上田綺世もヘッド弾。コンディションの問題もあって先発を外れた三笘薫も、トドメの一撃を見舞い、ゴールショーのトリを飾った。

　その三笘のゴールや前述した相馬の得点など、コンビネーションで崩してネットを揺らしたのも好材料だ。A代表を相手にノーゴールに終わり、「オーバーエイジで大迫勇也を呼ぶべきではないか」という声もあがったが、そうした懸念を払拭するパフォーマンスだった。

【動画】 リズミカルなパスワークから三笘薫が決めたダメ押しの６点目はこちら

　とはいえ、手放しでは喜べない。東京五輪のアフリカ予選であと一歩のところで出場権を逃したガーナは、すでに五輪世代の活動は終えており、18人のメンバーのうち８人、スタメンでは５人が10代の選手だった。

　日本でいえば、３年後のパリ五輪を目指す世代であり、そのチームにオーバーエイジ３人を含む７人の海外組が先発した日本が圧倒するのは当然とも言える。２日前にU-24代表がA代表に完敗したが、それ以上の実力差があったのは間違いない。“仮想南アフリカ”としては不十分だった。

　久保と堂安のように“波長が合う者同士”での好連係は見られたが、全体のコンビネーション不足や、まだスムーズとは言えないビルドアップ、最後の30メートルでの精度など、本番に向けて浮き彫りになった課題も少なくない。

　オーバーエイジが加入して、チーム力は確実に上がった。「いい守備から攻撃へ」という森保一監督のコンセプトも実践された。ただ、今回はスパーリングの相手としては階級が低すぎた。真価が問われるのはこれからだ。

取材・文●江國森（サッカーダイジェストWeb編集部）

【PHOTO】U-24日本 ６-０ U-24ガーナ｜久保や三笘らの得点もあり６得点で快勝！ますますメンバー争いが激化する試合に