現地時間４月18日、欧州のメガクラブが参加する「欧州スーパーリーグ」の構想が正式発表された。英公共放送『BBC』など有力なメディアが一斉に報じ、正式な発足は８月を予定しているという。

　欧州スーパーリーグ（European Super League）の発表によれば、リーグの開幕時期はまだ未定だが、参加する12クラブを公表。プレミアリーグからは“ビッグ６”と呼ばれるアーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、セリエAからはインテル、ミラン、ユベントス、ラ・リーガからはレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーが参戦。さらに、詳細は未定だが、３クラブが加わる見込みだという。

　実施される際には上記15チームを固定とし、前シーズンの成績に応じて５クラブを加えた20チーム制になるようだ。

　このリーグが実現すれば、既存の欧州サッカー連盟（UEFA）が主催するチャンピオンズ・リーグ（CL）、ヨーロッパリーグ（EL）との“衝突”は避けられない。UEFAはESLの公式発表の数時間前に、プレミアリーグ、イングランド・フットボール協会、イタリア・サッカー連盟、セリエA、スペイン・サッカー連盟、ラ・リーガとの共同声明を出し、釘を刺した。

「もしESLと称される大会の創設発表を計画しているという情報が本当であるならば、我々と国際サッカー連盟、連盟すべてのメンバーはそのプロジェクトに対して断固として結束することを表明する」
 

　そして、“最後通牒”ともとれる姿勢を明らかにした。

「フットボールは開かれた大会であり、スポーツの基盤となる価値を重んじている。そのほかの形にはなることはない。FIFAと連盟はすでに、ESLに参加するクラブは、国内、ヨーロッパ、国際大会に参加できなくなること、選手も代表チームでプレーできなくなることを通知した」

　そして声明内でUEFAはプロジェクトへの拒否を表明したクラブ、とくにドイツとフランスのクラブに感謝を述べた。『BBC』によれば、ビッグ６のサポーター団体はESLの設立に反対を表明し、非難の声が上がっているという。

　一方で、同メディアはクラブにとっては「メリットも多い」と指摘している。新型コロナウイルスの影響でクラブは経済面で大きな損失を負っている。ESLでは参加クラブに３億5000万ユーロ（約437億5000万円）の収入が約束されており、これはCL参加のボーナスを上回る金額だ。

　また、ESLはマドリーのフロレンティーノ・ペレス会長で、副会長にはマンチェスター・Uの共同オーナーを務めるジョエル・グレイザー氏が就任する。また、ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長も欧州クラブ協会会長とUEFA執行委員会のメンバーを辞任し、ESLの副会長を務めるようだ。

　UEFAは36チームからなるCLの改革企画を進め、19日に承認される見込みで、これによりESLの創設は食い止められると考えていたという。しかしESL推進派は不十分だという決断を下し、今回の発表に至ったとみられる。

　果たして、新CLを掲げていたUEFAの構想はどうなるのか――。今後の動向が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部