徹底されていた必勝戦法。FC東京が打倒・フロンターレの“お手本”を示してくれた

カテゴリ:Jリーグ

石川聡

2020年10月09日

「相手の徹底したところを上回れなかった」と鬼木監督

見事な堅牢を築いて川崎をゼロ封したFC東京。まさにしてやったりの快勝劇だった。(C)SOCCER DIGEST

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「多摩川クラシコ」となった10月7日のJリーグ・ルヴァンカップ準決勝は、FC東京が川崎フロンターレに2-0と快勝し、2009年以来11年ぶり3度目の決勝進出を果たした。

 リーグ戦で首位を独走する川崎は、8月23日のJ1第12節、名古屋グランパス戦以来、今シーズンの公式試合でようやく2敗目。しかも、無得点に終わったのはスコアレスドローとなった開幕節のサガン鳥栖戦以来とあれば、FC東京の勝利も価値が増す。

 向かうところ敵なしの川崎をどのチームが、どのように止めるのか。ルヴァンカップ準決勝のFC東京は、そのお手本を示してくれた。ひと言でいえば堅守速攻。堅い守りで相手の攻撃を凌ぎながら、隙を逃さぬ鋭い攻めで得点を奪って逃げ切る戦い方だ。

 しかし、言うは易しで、川崎相手にはこれがなかなか通用しない。自陣ゴール前を厚くしたつもりでも、パスワークやドリブルを織り交ぜ、寄せては返す波のような攻めに根負けし、堤防が決壊するごとく失点を重ねるシーンは、今シーズンのおなじみ。

 その川崎対策として、FC東京は堅守速攻を徹底した。相手ボールの際には、ボールと自陣ゴールの間に11人が陣取る局面も。「守るときは徹底して守って、相手が薄くなったところをカウンターで狙うのは決めていた」とは、守備の中心で相手の攻めをはね返し続けたDF渡辺剛。だから「守備に対する焦り、ストレスはまったくなかった」と言ってのける。

 さらに「しっかり守れば勝てるというのを分かっている」(渡辺)というディエゴ・オリヴェイラやレアンドロらのFW陣も、献身的に守りに加勢。価値ある2得点を挙げたレアンドロも「守備も頑張ってやろうとみんなで決めていた。それで良い結果が出た」と、覚悟のディフェンスに胸を張った。

 カウンターアタックにも切れ味の鋭さと精度があった。勝利を大きく手繰り寄せる62分の2点目は、MF三田啓貴のスルーパス、FW永井謙佑の折り返し、「永井が(相手に)絶対勝つと信じてペナルティーエリアに入っていった」というレアンドロのシュートに、川崎は打つ手なしだった。FC東京は14分に先制したレアンドロの直接FKと合わせ、ここまで2本のシュートで2ゴール。長谷川健太監督の選手起用も効果的で、74分に永井と交代したFWアダイウトンは、やはりカウンターからあわやのシュートを3本放ち、川崎の肝を冷やした。
 
 リーグ戦の62得点中、76分以降に最も多い16点をマークしている川崎は、終盤になってフリーのシュートをふかしたり、コントロールミスでボールがタッチラインを割ったりと、「らしくない」プレーでFC東京を楽にしてしまった。「相手の徹底したところを上回れなかった」と鬼木達監督が悔やめば、キャプテンのDF谷口彰悟も「FC東京にしてやられたゲーム。相手は徹底していた」と舌を巻く。

 FC東京の試合運びについての意志共有、それを遂行できる選手たちの献身性、徹底ぶりに、三冠獲得を狙った川崎が足をすくわれた一戦だった。

取材・文●石川 聡

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