【番記者コラム】内田篤人のずるい“タメ口”。雄弁に語るトッププレーヤーのゆえん

カテゴリ:Jリーグ

内田知宏

2020年08月23日

「なぜか篤人のタメ口だけは許せちゃう」(中村憲剛)

8月20日に現役引退を発表。23日のホームG大阪戦がラストマッチに。写真:滝川敏之

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 中村憲剛が勢いよく同意を求めてきたことがあった。「あいつ、ずるくないですか?」と。

 内田篤人のことである。「タメ口じゃないっすか。年下のくせに。でも、なぜか篤人のタメ口だけは許せちゃうんだよね。だからずるいと思わない?」。

 確かに中村のことを「けんちゃん」と呼び、会話の語尾が「です、ます」で終わらない。高校、大学と体育会系で育った中村は、そういう後輩を持ったことも、許したこともなかっただろうから、不思議に思うのも当然だ。

 それでも、よくよく見ていると、内田がすべての年上に対してタメ口を使っているわけではない。中村から見て、ひとつ上の小笠原満男に対しては「満男さん」だし、同じく本山雅志は「モトさん」。撮影などで出会うスタッフに対しては、丁寧語を使っていた。ちなみに10歳上の筆者にもタメ口だが、中村と同じように嫌だと感じたことは一度もない。

 誰からも受け入れられるゆえんが、ここにある気がしてならない。内田は「人は、よく見ているよ。見る目もあると思う」と言い、「タメ口を使っていい人と、使っちゃいけない人も分かっている」と続ける。

 ちょっとした仕草や言動を見て、許される相手かどうか、またはどこまで近づいていいか、すぐに感じられる。こじつけでもなんでもなく、この能力がサッカーにも生かされていたように感じる。

 試合後のコメントでよく聞くのが「相手が」から始まるくだり。「嫌がっていたから」「疲れていたから」「イライラしていたから」。相手の状況に応じて、自分の選択を変えていく。より効果的な方法で攻め、守る。
 
 この判断力がずば抜けていた。最も視野が取れると言われるサイドバックで、相手の細かい仕草まで見逃さなかった。決まりきった形、同じような監督の指示に従うというより、相手を見てサッカーをしていた。勝利の道がそこにあると分かって。

 引退を発表してから、再びスポットを当てられた言葉がある。ブラジル・ワールドカップのグループリーグ初戦、コートジボワール戦で敗れた後に発した。「ワールドカップで勝つのが目標なのか。自分たちのサッカーができればOKなのか」。

 盲目的に自分たちの攻撃的なサッカーを信じたが、相手に対応された時、二の矢がないチームは完全に止まった。「ワールドカップ優勝」。多くの国民と選手を引き付けた言葉を、敗退後は本田圭佑ですら口にすることはほとんどなかった。
 
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