なぜ選手が“その気になる”のか? リーガを制したジダンの「監督力」【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2020年08月06日

いかに選手たちから慕われているのかが明瞭に…

ジダン(左)の監督としての手腕をS・ラモス(右)も絶賛した。(C) Getty Images

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 サッカーの監督というのは、常に張り詰めた糸を渡ることを余儀なくされる不条理な職業だ。

 わずか1つのゴール、1つの勝点の差でそのまま歩き続けることができるか、落下するかの運命の岐路に立たされる。しかもメディアやファンはおろか、時にフロント幹部までその荒唐無稽ぶりを盛り上げるのだから質が悪い。

 現在のサッカーシーンにおいて、そうした周囲の重圧の影響を受けずに自らの立ち位置を明確に確立することができる稀有な監督がいる。レアル・マドリーをラ・リーガ制覇に導いたジネディーヌ・ジダンだ。

 優勝決定直後に、満面の笑みを浮かべながらジダンは選手たちと抱き合って喜びを分かち合っていた。誰かれとなくハグを繰り返すその姿は、いかに選手たちから慕われているのかが明瞭に伝わってきた。
 
 監督が選手たちをその気にさせる際に重要な手段として、結果、威厳、知識に加え、欠かせないものが愛情である。選手たちは監督が実直で、その言動から正義を感じ取り、信頼を与えてくれれば、大義のために全身全霊を込めてプレーする。

 いうまでもなく、強制的にやらされることと自発的にすることでは雲泥の差がある。サッカーを知ることだけではない。人間を知ることもまた監督の重要な職分である。

 ジダンを見ていると、その普遍的な事実にまざまざと気づかされるのだ。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
 
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