スランプに陥っていた柏に復調の予感がする。

　リーグ再開後はFC東京に０－１、横浜FCと川崎にともに１－３と３連敗を喫したが、５節の湘南戦で３－２と勝利。札幌との開幕戦（〇４－２）以来の白星を挙げたゲームは、中村航輔、高橋祐治、大南拓磨、三丸拡、仲間隼斗が今季リーグ初先発と、大幅にスタメンを入れ替えたなかでの１勝だった。それによって現在のチームには、“良い兆候”があるとネルシーニョ監督は語る。

「こないだ（湘南戦）の選手起用で大幅な変化があったとよく言われるんですけど、変化は当然ながらチームを勝たせるため、チームを良くするために動きました。基本的な考え方としては、選手を温存するスタンスはまったくない。その都度、その試合で、状態の良い選手で毎試合臨んでいます。

　前節は試合に入った選手が終始、戦う姿勢を見せてくれた。加えて、戦術の理解や成熟もしたと思います。これまで出場機会を得られなかった選手が、ピッチに立って試合に出ていない選手に良い刺激を与えてくれた。それは湘南戦で、いつか来るけど見えていなかった出場機会に対して準備してくれた選手たちの努力の賜物。それが結果としてチーム全体の底上げにつながる。そういった意味では、こないだのゲームに入った選手たちが結果を残してくれたことは、チーム全体としてこれから良いサイクルに入っていける兆候と言えます。

　なかなか３連戦で勝てなかった試合が続くと選手たちも不安になるんですけど、こないだの１勝で、次の浦和戦に向けて落ち着いてしっかり良い形でゲームに入っていけると期待しています」

　湘南戦で活躍した選手は複数いたが、最も目立ったパフォーマンスを披露したのは、左サイドハーフで出場した仲間だろう。守備で献身的に働きつつ、44分にはPKを獲得し、70分にはゴールも決めた。

　仲間が披露した多くの好プレーは、これまで左サイドハーフのスタメンだった瀬川祐輔に良い刺激を与えたはずだ。もし、次節の浦和戦（７月22日）で瀬川が出場し、仲間に負けじと活躍すれば、ポジション争いがより激しくなり、まさに「良いサイクルに入っていける」可能性がある。

　また、新型コロナウイルスの感染リスクを考慮して中断期間中に練習試合を組まなかった柏は、再開後に３連敗したゲームでは選手のコンディションが悪い印象だった。だが、試合を重ねた現在、高橋祐治によれば「（試合勘やゲームへのフィーリングは）問題ない。湘南戦で90分出場しても問題なかった」という。失点を重ねている課題のセットプレーも「自分の仕事プラスアルファでもうちょっと周りを見て対応し、集中力をもうひと段階上げていかないといけない」（高橋祐）と修正を図っているようだ。

　もちろん、あくまで予感で、柏が復調する断言はできないが、チームが良い方向に向かっているのは間違いないだろう。真価が問われるのは次節の６位・浦和とのアウェー戦だ。ここで勝利できれば良い勢いに乗れるはず。大いに期待したい。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）