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両親の死、15歳で“ボート難民”に…。インテル撃破に貢献したボローニャの超逸材FWの壮絶人生

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年07月07日

人生を変えた運命の出会いとは?

ユベントスとのビッグゲームでも起用されたジュワラ。その生い立ちはあまりにも壮絶なものだった。 (C) Alberto LINGRIA

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 現地時間7月5日に行なわれたセリエA第30節で、敵地で強豪インテルと対戦したボローニャは、2-1で見事な逆転勝ちを収めた。

 22分に先制されたうえ、57分にはロベルト・ソリアーノが退場となり、数的不利の状況にも追い込まれたボローニャ。劣勢のゲームで流れを変えたのが、65分に冨安健洋との交代で送り出された18歳のガンビア人FWムサ・ジュワラだ。

 74分に左サイドでのスローインの流れから敵エリア内でのクリアミスに反応し、見事な左足のシュートで同点弾をねじ込むと、その3分後には驚異的なスピードを活かした仕掛けで、対応した相手DFアレッサンドロ・バストーニが退場となるファウルを誘発。その直後にガンビアの先輩FWムサ・バロウに逆転ゴールが生まれた。

 インテル撃破を呼び込んだジュワラだが、ここまでの人生は決して平たんではなかった。まだ年端もいかない頃に、難民としてイタリアにやってきたのだ。伊紙『La Repubblica』が伝えている。

 2001年にガンビアで生まれたジュワラは、幼少期に両親が他界。祖父母の下で決して裕福とは言えない生活を送ってきた。
 

 なんとか困窮する生活から脱しようと考えたジュワラは、15歳となった2016年に母国を離れ、一人でボートに乗り込んで、イタリア・シチリア島のメッシーナに上陸。いわゆる“ボートピープル”だったのである。

 欧州での成功を掴みたい一心で辿り着いた南イタリアで、彼は運命的な出会いをする。ルオーティという街にある移民センターに暮らしていたジュワラが、草サッカーをしていたところを、地元のヴィルトゥス・アビリアーノを率いていたヴィタントニオ・スマー氏に見出されたのだ。

 スマー氏とその妻は、ジュワラの親権を取得して後見人となると、生活は安定。新たな家族と落ち着いた環境を得た原石は、スマー氏のチームで、ポテンシャルをいかんなく発揮。2017年に1シーズンで29得点を挙げると、18年の夏にセリエAのキエーボ・ヴェローナとの契約を勝ち取ったのである。

 メキメキと力を伸ばし、2019年5月に行なわれたセリエAのフロジノーネ戦でプロデビューを飾ったジュワラは、昨夏にボローニャへ完全移籍。百戦錬磨のシニシャ・ミハイロビッチの下で、才能に磨きをかけ、出場5試合目のインテル戦で待望のプロ初ゴールを挙げたのだ。

 文字通りの荒波を乗り越えて、スターダムを駆け上がり始めたムサ・ジュワラ。その名前を覚えておいて損はないはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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