【酒井高徳/この一枚】弾ける笑顔に漲る充実感。ヴィッセルでも必要不可欠なピースに

カテゴリ:連載・コラム

徳原隆元

2020年06月24日

その存在はさらに大きくなっていくはずだ

決して派手さはないが、抜群の存在感でチームを引き締める。その堅実なプレーはドイツでも高く評価されていた。写真:徳原隆元

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ハンブルクでは4シーズン、プレー。チームの中心選手として、使命感に満ち溢れた働きを見せていた。写真:徳原隆元

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 2018年10月26日、ブンデスリーガ2部のマクデブルク対ハンブルクの一戦。スター選手もプレーする1部と比較して、個人技術を補うためにフィジカル勝負となる展開が多い2部の試合で目に留まる選手がいた。

 目に留まった理由は、なにも彼がピッチに立つ選手の中で、最も見知った選手だったからではない。フィジカルプレーを武器に、タフな2部の試合で相手選手を圧倒していたわけでもない。

 声を張って味方選手に指示を出し、ピンチと見ると素早く対処に向かい、相手選手からクリーンにボールを奪う。決してプレーに派手さはないが、ディフェンスラインを巧みに統率し、ピッチでひときわ存在感を発揮していたのが、ハンブルクの酒井高徳だった。

 この試合で見せていた酒井のプレーは、チームの中心選手としての使命感に満ち溢れていた。その姿はまさにピッチ内の指揮官と言っていい存在感だった。

 酒井を中心とする安定した守備が功を奏したハンブルクは、90分間を通して敵の攻撃をシャットアウトする。終盤の76分にはゴールを決め、アウェーの地で勝点3をゲットした。試合後、サポーターの声援に応える選手たちの中で見せた、弾ける笑顔の酒井は充実感に溢れ、実に魅力的だった。

 その酒井をドイツの地で撮影したのは,シュツットガルト時代と合わせて7回を数える。撮影に行った試合のすべてにスタメン出場を果たしていたのは、決して偶然ではないだろう。彼のフォア・ザ・チームの精神から生まれる堅実なプレーは、所属したチームから高く評価されていたことは間違いない。
 
 酒井はドイツでの8シーズンを経て、2019年にヴィッセル神戸へと活躍の舞台を移した。そして、今。J1リーグの再開がいよいよ迫っている。神戸は世界的スターのアンドレス・イニエスタの獲得に始まったドラスティックな変革によって、Jリーグの強豪へと駆け上がってきた。いまや話題性や特定のスター選手の個人プレーだけに留まらず、チームとして本物の強さが備わってきている。それは今年の元日、天皇杯を制したことからも分かるだろう。

 チーム戦術の重要性が増し、ピッチに立つ11人の総合的な能力によって勝敗が決定する兆候が強い現代サッカーでは、勝敗の命運を握っているのは、なにもイニエスタひとりではない。

 リーダーシップの精神と献身的なプレーでチームに安定感をもたらす酒井は必要不可欠なピースだ。チームの完成度が高まる神戸にあって、酒井の存在はさらに大きくなっていくのではないだろうか。

取材・文・写真●徳原隆元

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