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懲りない“悪癖”で足を引っ張ったバレンシアDF――コロナ後も求められる集中力【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2020年06月16日

指揮官は「以前にもこのテーマで話し合った」

現在23歳ののディアカビ。その能力は申し分ないが……。(C) Getty Images

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 コロナ禍で中断していたラ・リーガが、3か月ぶりに再開した。

 6月12日、バレンシア対レバンテのバレンシア・ダービーは、“ダービーらしく”どちらも譲らない1-1のドローで終わっている。

 試合を優勢に進めたのは、順位でも上回るホームのバレンシアだった。終盤、89分に左サイドでホセ・ルイス・ガヤが味方を追い越し、奥深くまで走り込む。そこに攻め上がったウーゴ・ギジャモンから、鮮やかなスルーパスが通る。ガヤは左足で、ニアサイドに鋭いグラウンダーのクロスを打ち込む。このコースを信じていたように飛び込んだロドリゴが点で合わせ、ボールをファーサイドに流し込んだ。

 ガヤはこの試合、最大の殊勲者の一人だったと言えるだろう。前半からサイドバックとして、ボールの“出口”となっていた。守備でも防御線を破らせていない。外を駆け上がるだけなく、幅を取ったサイドアタッカーのインサイドを走りこんでパスを引き出し、チャンスを演出するなど、相手に脅威を与えていた。

 バレンシアはアルベルト・セラーデス監督の戦術が機能し、勝てたはずの試合だった。

 ところが、残りのアディショナルタイム数分でペースを失ってしまう。レバンテに押し込まれると、浮足立った。まず、コロナ前と比べてフォームを崩していたダニエル・パレホがエリア近くで不用意なファウルを与えている。このFKは防ぐことができたが、攻撃を分断できず、CKを取られてしまった。そしてフリーでヘディングを合わせられたが、このシュートもGKヤスパー・シレッセンの正面で事なきを得た。

 しかし、レバンテが勢いを得ていたのは明白だった。
 
 残り1分になったところで、バレンシアはCBムクタール・ディアカビがロングボールに対し、軽率なファウルでFKを与えてしまう。数的優位な状況で、ファウルをする必然性は乏しかった。

 さらに、このFKの対応で、ディアカビは再び思慮の浅いファウルをしてしまう。エリア内でボルハ・マジョラルをマークしていたが、進行方向を遮るように両手をかけてしまい、足も出していた。ボールとほぼ関係ないところでのプレーで、不必要なファウルだった。一度はFKと判定されたが、VARでPKに修正された。

 このPKを決められ、バレンシアは勝点2を失った。

「アディショナルタイムは試合のコントロールを失ってしまったと思う。ディアカビとは以前にもこのテーマで話し合ったが、またしても起こってしまった。(このようなミスで)あまりに多くの勝点を失ってしまっている」(セラーデス監督)

 このフランス人CBは、非凡な能力を持ちながら、試合次第で集中を欠く傾向があり、パスミスが増えるとリズムを失い、果ては雑なファウルでFKやPKを与えてしまう。これが初めての失態ではない。その“悪癖”は、コロナ前と変わっていなかったということか。

 つくづく、サッカーの試合は90分+アディショナルタイムで競われるものである。タフに戦い抜く集中力が問われるのだろう。少しでも気を抜けば、負け転ぶ要素を孕む――。

 それはコロナ後の無観客という“新しい日常”のゲームであっても、何一つ変わることはない。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
 
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