【J再開後の注目株|横浜FC】観る者の心を捉える中山克広のさらなる進化への道筋

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェスト)

2020年05月28日

苦い経験を繰り返すことで進化が見えてくる

壁にぶつかれば、その分、強くなる。リーグ再開後も悔しい想いをするかもしれないが、持ち前の向上心でさらなる成長を遂げるはずだ。写真:田中研治

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 不器用な部分が見え隠れするが、そのプレースタイルには不思議と好感が持てる。マイボールにして、チャンスと見るや、思い切りの良い突破を試みる。そのチャレンジが失敗に終わっても、また次、さらに次と、ガムシャラに仕掛ける。

 横浜FCの右サイドで躍動する大卒2年目のアタッカー、中山克広は観る者の心を捉える何かを秘めているように思う。ミックスゾーンでの溌剌とした受け答えからは、人柄の良さもうかがえる。

 ルーキーイヤーの昨季は32試合・6得点と主力級の活躍を見せ、チームの13年ぶり2度目のJ1昇格に大きく貢献。迎えた今季も攻撃陣の貴重な戦力と見なされ、1-1のドローに終わった神戸とのリーグ開幕戦でもスタメンに名を連ね、自慢のスピードを武器にアグレッシブなドリブルで存在感を放った。

 その1週間前の広島とのルヴァンカップ初戦でも、先発でピッチに立った。試合は0-2で敗れ、中山も決定的な仕事はできなかったが、格上の相手に対し、囲まれても粘り強いキープから局面を打開するシーンもあった。

「少しは通用するなっていうのはありました」

 自身初となるトップレベルの舞台で、少なからず手応えを掴んだ。ただ、その後は反省の弁が続く。

「でも、対人の時に佐々木翔選手を背負った時に負けてしまったり、1対1で面と向き合った時に突破口が見つけられなくて簡単に横パスを出したり。自分の中で自信を持てていない部分がまだあるのかな、というのは感じました」
 
 その反省が活かされたのが、先述の神戸戦ではないだろうか。広島戦では力不足を感じたが「良いきっかけになりました」と前を向いていた。今の自分に何ができて、何ができなかったのか。何が足りなかったのか。問題点を洗い出して、改善に取り組む。成長への過程を整理し、修正する能力が高いのだろう。

 壁にぶつかれば、それを乗り越えようとする強い意志がある。完敗した広島戦では「洗礼を受けた」とも語っていた。引いて構える相手に対し、ボールを持たされた状態で効果的な崩しができなかったが、そうした悔しい経験をリーグ再開後もいくつも積み上げ、糧にすることで、さらなる進化が見えてくるはずだ。

 果敢な仕掛けが止められる――だが、そのひたむきなプレーから伝わってくるのは、J1では通用しないか、という失望ではなく、これでまたひとつ逞しくなる、という期待感だ。

 チャンスメーカーとしても、得点源としても、楽しみな逸材だ。可能性を感じさせるその貪欲な姿勢でより高みを目指し、チームの最大の目標であるJ1残留の力となりたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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