「彼は死ぬことすら…」世界に衝撃を与えたスアレスの“噛みつき事件”はなぜ起きた? 当時を知る元同僚が回想

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年04月27日

「大義に忠実だったんだ…」

肩を噛まれた主張するキエッリーニ(奥)。スアレス(手前)は歯を痛めつけられたことをアピールし続けた。 (C) Getty Images

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 時にサッカー選手たちは、自らの闘争心を抑えきれずに“事件”を起こしてしまう。キッカケは様々だが、観客にカンフーキックを見舞ったエリック・カントナやディエゴ・シメオネを故意に蹴りつけたデイビッド・ベッカム、マルコ・マテラッツィに頭突きを見舞ったジネディーヌ・ジダンらが騒動を起こしてきた。

 ウルグアイ代表FWのルイス・スアレスが起こした“それ”もサッカー史に深く刻まれている。遡ること6年、ブラジルで開催されたワールドカップのイタリア戦(グループリーグ)で、相手DFに「ガブリッ!」と噛みついたのだ。

 決勝トーナメント進出がかかった緊張状態が、そうさせたのかもしれない。スコアレスで迎えたゲーム終盤の79分、スアレスは相手DFジョルジョ・キエッリーニともつれながら転倒。後者は肩を抑え、前者はなぜか歯を抑えてファウルを主張した。

 結局、試合中に両雄が罰せられることはなかったが、後にスアレスがキエッリーニの肩に歯を立てていたことが明らかになり、FIFAから4か月の活動禁止処分を言い渡されたのである。

 試合はウルグアイがイタリアに競り勝ち、決勝トーナメント進出を決めた。だが、ほとんどの人々の脳裏に焼き付いたのは、結果よりもスアレスの“蛮行”のほうだったかもしれない。
 

 この時の舞台裏をウルグアイのキャプテンだったディエゴ・ルガーノが、アルゼンチン・メディア『Infobae』のインタビューで、「スアレスの“事件”は、ウルグアイ・サッカー史に残る最高の話として語るに値する」と振り返った。

「彼は僕らが敗退しないように、大きな賭けに出たのさ。だからキエッリーニを噛んだんだ。大義に忠実だっただけだ」

 当時、世界からバッシングを浴びたスアレスだったが、「あれは擁護すべきことだった」と評したルガーノは、さらに持論を続けた。

「スアレスは死をも恐れていなかったんだ。とにかく大義に忠実だったんだよ。だから、ある時点で間違いを犯してしまったチームメイトを責めるべきではないと思った。それまでキエッリーニはずっと彼を追いかけていたけど、あの直後にキエッリーニはゴディンのマークにつくことに失敗し、我々は決勝ゴールを奪った。スアレスはキエッリーニに心理的な痕跡を残したんだよ」

 物議を醸したスアレスの“噛みつき事件”。ルガーノの言葉を借りれば、母国のために戦った執念が生んでしまったのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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