神戸弘陵の中盤を支える主将が、ゲームコントロールだけでなく、２ゴールと結果を残し、チームをベスト16へと導いた。
 
　１月２日、晴天のなかニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた全国高校サッカー選手権２回戦、神戸弘陵（兵庫）対明秀日立（茨城）の一戦は、前者が３-２で逃げ切り、３回戦進出を決めた。
 
　神戸弘陵は、立ち上がりこそ押し込まれる時間があったものの、徐々に細かいパス回しで主導権を握ると、14分に右サイドをドリブルで抜け出たMF兼田拓実（３年）のマイナスの折り返しに、ゴール前での混戦から、最後はMF沖吉大夢（３年）がフリーで左足を振り抜き、ゴールに突き刺した。
 
　幸先良く先制した神戸弘陵は、後半開始４分にもFW松野隼輝（２年）のゴールで２点のリードを奪う。同12分に１点を返されたものの、同33分に再び沖吉がPKを決めて、ふたたび２点差とする。終盤は相手に主導権を握られ、苦しい展開が続いたが、後半アディショナルタイム３分に失点するも、神戸弘陵が最後までリードを守り抜いた。
 
「初戦からそうですけど、全国大会で楽な試合は無い」と谷純一監督が語るように、神戸弘陵にとって厳しい試合となった。前半は主導権が握れていたものの、後半は相手のセットプレーや、カウンターから危ないシーンを何度も作られ、我慢の時間が続いた。
 
　２ゴールを挙げ、勝利の立役者となった主将で10番を背負う沖吉は、こういったゲームがチームの自信に繋がると話した。
 
「僕たちは兵庫県予選から、こういう厳しいのをやってきているんで、まぁそれでもこれを乗り越えれたっていうのはチームとして絶対自信になると思います」
 

　また自身の２ゴール目のPKで、真ん中に蹴ったことに対して怖くなかったかと質問が及んだ際には、「結構自信はありますね。負けたら自分の責任にしてしまえばいいですし、とにかく自分の中に覚悟があるので。あんまりマイナスのことは考えないですし、蹴るときは、俺なら絶対できるっていうのと、みんなのところに駆け寄っていくイメージだけをしっかり持って、良いイメージだけ持って蹴れてるので、それが良かったのかなと思います」と胸を張る。
 
　沖吉のプレーはもちろん、言葉からも“自信”が溢れていた。
 
「観客がいっぱい入っていた方が、ワクワクする。それが自分にとってプラスなのかなと思います」
 
　激戦区の兵庫を代表するチームのキャプテン。普通であれば、相当なプレッシャーがかかるところだが、彼はこの状況を楽しんでいた。この精神的な強さが、神戸弘陵の３回戦進出の原動力となったに違いない。
 
取材・文●手塚集斗（サッカーダイジェストWeb編集部）

【選手権PHOTO】神戸弘陵３－２明秀日立｜明秀日立の反撃も及ばす。神戸弘陵が３ゴールをあげ３回戦に進出！