レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第54回・ジェンティーレ(元イタリア代表)

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年11月07日

世界中の名手をことごとく封じたハードマーカー

ユベントスではあと一歩のところで大陸制覇に手が届かなかったが、アッズーリでは見事に予想を覆して世界一に輝いた。世界各国の記者による82年W杯ベストプレーヤーの投票でロッシに次ぐ2位だったことが、ジェンティーレの果たした仕事の大きさを表わしている。 (C) Getty Images

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 本誌ワールドサッカーダイジェストと大人気サッカーアプリゲーム・ポケサカとのコラボで毎月お送りしている「レジェンドの言魂」では、サッカー史を彩った偉大なるスーパースターが、自身の栄光に満ちたキャリアを回想しながら、現在のサッカー界にも貴重なアドバイスと激励を送っている。

 さて今回、サッカーダイジェストWebに登場するのは、執拗なマークの他、鋭い読みとタックルを駆使し、「殺し屋」として相手チームのエースを震え上がらせた稀代のディフェンダー、クラウディオ・ジェンティーレだ。

 縁の下の力持ちとしてチームを支えながら、時に決定的な仕事も果たしてユベントス、イタリア代表に栄冠をもたらしたカルチョの偉人の軌跡を、ここで振り返ってみよう。

――◇――◇――

 クラウディオ・ジェンティーレがイタリア・シチリアと北アフリカ・リビアにルーツを持つ両親の間に生まれたのは、1953年9月27日。リビアの首都トリポリで8歳まで過ごした彼は、ここでサッカーに興じ、のちにピッチ上で示すボールへの執着心の強さを、この頃から見せていた。

 カダフィ政権による迫害を避けるためにリビアを離れると、ジェンティーレ一家はイタリア北部・コモ郊外のブルナーテに移り住み、クラウディオ少年は近郊にある街マズリアーニコのサッカーチームに所属する。

 この辺りで最大のクラブだったコモには、残念ながら入団寸前までいったものの実現はならず、68年にヴァレーゼのユースチームの一員となる。71年にトップチーム(当時セリエA)昇格を果たしたが、器用とは言えず、さしたる特徴もなかった彼は、すぐに4部のアローナへ貸し出された。

 しかし、ここで徹底的に守備の技を磨き上げ、主力として1年を過ごし、翌シーズン、セリエBに降格したばかりのヴァレーゼに復帰。セリエA復帰のために守備の向上を優先するチームのニーズに合致し、ジェンティーレは不可欠な存在として好パフォーマンスを発揮し続けた。

 これに目を付けたのが、当時、ユベントスのスカウトを務めていた、あのルチアーノ・モッジ。そして会長のジャンピエロ・ボニペルティも、サンドロ・サルバドーレらベテランDFの後継者を強く欲していたため、まだ20歳の誕生日も迎えていない少年を引き抜くことに何ら迷いはなかった。

 名門のユニホームを身に纏ったジェンティーレ。73年8月のコッパ・イタリア(アスコリ戦)でユベントスでのデビューを飾ると、11月には欧州王者アヤックスの代わりに出場したインターコンチネンタル・カップ(インデペンディエンテ戦)でスタメン入り。そして12月のエラス・ヴェローナ戦で初めてセリエAの舞台に立った。

 1年目はリーグ戦13試合でプレーし、翌シーズンは29試合でピッチに立って自身初のリーグ優勝を経験。75年にはイタリア代表から招集を受けるようになったが、完全にレギュラーに定着したのは76-77シーズン、名将ジョバンニ・トラパットーニが監督に就任してからだった。

 ここから2シーズン連続でスクデット獲得、81年からも再びリーグ連覇、さらに83-84シーズンもイタリアの頂点に立った他、コッパ・イタリア2度の優勝、そして欧州の舞台では77年にUEFAカップ、84年にカップウィナーズ・カップでタイトル獲得の喜びを味わった。

 唯一取り逃がしたと言えるビッグタイトル、チャンピオンズ・カップ(現リーグ)は82-83シーズンに決勝進出を果たすも、伏兵ハンブルクに足下をすくわれて0-1の敗北。ジェンティーレはFWラルス・バストルップが顎を骨折するほどのハードマークを見せたものの、欧州王者の座には到達できなかった。

 このハンブルク戦に限らず、ジェンティーレのプレーは非常にハードなものであり、時にファウルを厭わぬラフなものとなることで、「殺し屋」「エースキラー」といったニックネームが彼にはつけられた。

 そのため、強い批判的な意見も多く寄せられたものだが――それは現在でも変わらず、いやむしろフェアプレーを重視する現在ではさらに彼のプレーに対する見方は厳しいかもしれない――、荒っぽさだけがジェンティーレという選手の全てだという認識は間違っている。

 マンマークの巧さはイタリアの歴代DF(現在に至るまで)のなかでも屈指であり、相手に密着して自由を与えず、抜群の読みと鋭いタックルでいとも簡単に相手からボールを奪い取る(ほとんどのケースでファウルは必要なかった)。また、両SB、CB、そしてMFと、あらゆるポジションで守備のタスクを完璧にこなす器用さも兼ね備えていた。

 さらに攻撃参加も得意とし、機を見たオーバーラップがチャンスに結びつくことも少なくなく、攻守のバランスを考える指揮官にとって、これほど重宝する選手はいなかったのである。

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