レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第53回・リバウド(元ブラジル代表)

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年10月03日

高い技術と創造性で人々を魅了した世界一の名手

ブラジル人らしい娯楽性に富んだプレーは、一方で全く無駄がなく、効果的にゴールに結びついた。リバウド自身は、控えめで地味(生活スタイルも含め)な性格であり、目立つことを嫌うがゆえに、歴代の名手と比べて「スター性に欠ける」と揶揄されたりもしたが、その魔法のようなテクニックはサッカーの歴史を鮮やかに彩るものだ。 (C) Getty Images

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 本誌ワールドサッカーダイジェストと大人気サッカーアプリゲーム・ポケサカとのコラボで毎月お送りしている「レジェンドの言魂」では、サッカー史を彩った偉大なるスーパースターが、自身の栄光に満ちたキャリアを回想しながら、現在のサッカー界にも貴重なアドバイスと激励を送っている。

 さて今回、サッカーダイジェストWebに登場するのは、「魔法の左足」を駆使し、多くのチャンスを味方に供給するとともに、重要なゴールを量産し続けたサッカー王国・ブラジルの歴史に残る天才、リバウドだ。

 代表、クラブで幾多の伝説を創り上げて頂点に昇り詰め、さらに個人としても世界一の称号を手にした偉人の軌跡を、ここで振り返ってみよう。

――◇――◇――

 リバウド・ビトール・ボルハ・フェレイラは1972年4月19日、ブラジル北東部の大きな港湾都市、レシフェに生を受けた。

「ファベーラ」と呼ばれる貧民街に育った彼は幼少期、その貧しさゆえに多くの困難に直面。日々の食事すら満足に摂れない結果、栄養失調でほとんどの歯を蝕まれたことは、その後の人間性にも大きな影響を及ぼすこととなる。学校や砂浜で果物を売って家族の生計を支えた彼はまた、歯だけでなく、極度のO脚にも苦しめられた。

 そんななかでリバウド少年を励ましたのは、まず何よりも家族だ。互いに苦労を分け合い、これを乗り越えた存在との絆は、89年に父親を交通事故で失ったことでますます強まり、現在に至るまで、彼の人生において最も大切なものとなっている。

 そして、もうひとつがサッカー。前述の歯の件もあって、人前に出るのが苦手だったリバウドだったが、そのプレーは人々の視線を独り占めにした。少年にとって唯一の楽しみは、同時に家族が貧しさから抜け出すための希望でもあり、バス代を捻出できない彼は、自宅から15キロも離れた練習場に毎日、徒歩で通い続けた。

 父を失った年に地元のクラブ、パウリスタとプロ契約を交わすと、下部組織でチームプレーヤーとして鍛え上げられ、91年、2部リーグのサンタ・クルスでトップチーム・デビューを果たす。

 翌年、故郷を離れて大都市サンパウロのモジミリンに移籍すると、ノロエステ戦での50メートルのロングシュートなどで注目を浴び、93年に名門コリンチャンスにレンタル移籍。ここで1部リーグ・デビューを果たし、全国リーグで14試合9得点という成績を残して、早くも『プラカール』誌選定の年間最優秀選手賞の次点に選ばれた。

 翌シーズンに同じく強豪のパルメイラスに引き抜かれ、優れた得点能力(2シーズンで53ゴール)を発揮して、チームの全国選手権制覇(94年)、2度のサンパウロ州選手権優勝(94、96年)に貢献。この頃には、左足から繰り出す魔法のようなテクニックは、欧州でも広く知られるところとなっていた。

 96年、リバウドはスペインに渡る。当初はイタリアのパルマ移籍が確定とされていたが、最終的に選んだ新天地はデポルティボ。ここでいきなり21ゴール(リーグ41試合出場)を挙げ、前シーズンに9位に沈んだチームを3位まで引き上げるなど、その力を存分に発揮したのである。

 これでクラブ関係者やサポーターの心を掴み、新たなチームのシンボルとして期待されたリバウドだったが、97年夏、突然デポルティボ退団を発表する。行き先は、ブラジルの“怪物”ロナウドをイタリアのインテルに送り出したばかりの名門バルセロナだった。

 バルサの提示額がデポルティボの設定した契約解除金のそれを上回ったことで成立した移籍劇だったが、デポルティボ・サポーターの怒りはリバウドに向けられた。裏切り者としてラ・コルーニャの街を去り、到来したバルセロナで、リバウドのキャリアはピークに達する。

 ルイス・フィーゴらスター選手たちとの共演のなかでゴールを量産し、1年目にしてチーム得点王となり、リーガ制覇に大貢献。続く、クラブ創立100周年という記念のシーズンにもチーム最多の19ゴールを挙げ、リーガ連覇を成し遂げた。

 99-00シーズン以降、バルサは混迷の時期に突入したが、そんななかでもリバウドの得点力は落ちることがなかった。190センチに達しようという長身ながら、柔軟で軽やかな動きから、創造性溢れる鮮やかなボールさばきで対峙するDFを翻弄し、ゴールを貶める彼は、99年にバロンドールを受賞。世界一の選手の称号を手にした。

 数々の重要なゴール、伝説の一撃を放ってきたリバウドだが、なかでも00-01シーズンのリーガ最終節バレンシア戦、フランク・デブールのクロスを胸で受け、すかさず宙に身を躍らせて鮮やかなオーバーヘッドでハットトリック(そして決勝点)を決めた場面は、リーガの歴史においても永遠に語り継がれるハイライトシーンとなっている。

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