PK戦の末に初戦突破も不発に終わり、試合後は笑顔なく
[インターハイ2回戦]桐光学園0(8PK7)0清水桜が丘/7月27日/金武町フットボールセンター
試合後、西川潤に笑顔はなかった。
0−0で70分を終え、迎えたPK戦。8人目が成功して勝利を手にしたが、10番は歓喜の輪へ加わらずにピッチを後にした。
今年度の高校サッカー界で、No.1アタッカーと称されるのが桐光学園の西川潤(3年)。個人技で打開するスキルと決定力を兼ね備えたレフティは、2月にセレッソ大阪への入団が内定している。同世代の仲間たちよりも一足先に2種登録選手としてルヴァンカップやJ1の舞台を経験。5月のU-20ワールドカップには飛び級で選出された。当然、7月26日に沖縄で幕を開けたインターハイでも主役候補として大きな期待が懸けられているのは言うまでもない。
今大会の初陣となる2回戦ではどんなプレーを見せるのか。しかし、清水桜が丘戦では相手に警戒されていた点や周りとの連係が合わなかったとはいえ、“らしさ”を見せる場面は限られた。
「前半はあまりボールに触れなくて、攻撃のリズムを作れなかった」
とりわけ序盤は最前線でボールを呼び込むまでは良かったものの、仲間からパスが出て来ずに前線で孤立。後半は185センチの大型FW庄司朗(2年)が投入されて自由に動ける場面を増やした一方で、フィニッシュに絡むシーンは数える程しかなかった。試合後に笑顔を見せられなかった要因は本人曰く、疲れや勝利に安堵したからだと言う。だが、結果を残せなかった点も理由のひとつだったのは間違いない。
「西川は出ていましたか? たぶん今日は暑いから、芝の下に隠れて休んでいたのかな笑。あいつが今日の試合で、相手に出せていた脅威は今までのステータスがあったから。ここまでの実績で警戒しますから。まだ、西川は起きていない。夢の中ですね」
試合後、鈴木勝大監督も冗談を交えながら西川の出来に苦言を呈し、さらなる奮起を促した。
茹だるような暑さはあるし、相手に警戒されていたら簡単に仕事はさせてもらえない。C大阪や代表での活動で上のレベルを知ったことで、周囲とのギャップを感じている部分も少なからずある。だが、いかなる状況でも結果を残さなければ、真のエースとは呼べないのも事実だ。
「いろんな経験が彼の肥やしになっている。チームに落とし込みながら、彼が一番感じていると思う。彼も責任感がある。今日の不甲斐なさは一番分かっているはずだから、次はやってほしい」
試合後、指揮官は西川にそう発破を掛けた。そうした言葉を送ったのも、「お前ならできる」と信じているからこそ。3回戦の相手は丸岡に決まった。西川は自らの真価を示せるか。
「プレッシャーはありますよ。だけど、次は見ていてください。やるしかないんで!」
次こそはチームメイトと勝利を分かち合い、飛びっきりの笑顔をピッチで見せるつもりだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
試合後、西川潤に笑顔はなかった。
0−0で70分を終え、迎えたPK戦。8人目が成功して勝利を手にしたが、10番は歓喜の輪へ加わらずにピッチを後にした。
今年度の高校サッカー界で、No.1アタッカーと称されるのが桐光学園の西川潤(3年)。個人技で打開するスキルと決定力を兼ね備えたレフティは、2月にセレッソ大阪への入団が内定している。同世代の仲間たちよりも一足先に2種登録選手としてルヴァンカップやJ1の舞台を経験。5月のU-20ワールドカップには飛び級で選出された。当然、7月26日に沖縄で幕を開けたインターハイでも主役候補として大きな期待が懸けられているのは言うまでもない。
今大会の初陣となる2回戦ではどんなプレーを見せるのか。しかし、清水桜が丘戦では相手に警戒されていた点や周りとの連係が合わなかったとはいえ、“らしさ”を見せる場面は限られた。
「前半はあまりボールに触れなくて、攻撃のリズムを作れなかった」
とりわけ序盤は最前線でボールを呼び込むまでは良かったものの、仲間からパスが出て来ずに前線で孤立。後半は185センチの大型FW庄司朗(2年)が投入されて自由に動ける場面を増やした一方で、フィニッシュに絡むシーンは数える程しかなかった。試合後に笑顔を見せられなかった要因は本人曰く、疲れや勝利に安堵したからだと言う。だが、結果を残せなかった点も理由のひとつだったのは間違いない。
「西川は出ていましたか? たぶん今日は暑いから、芝の下に隠れて休んでいたのかな笑。あいつが今日の試合で、相手に出せていた脅威は今までのステータスがあったから。ここまでの実績で警戒しますから。まだ、西川は起きていない。夢の中ですね」
試合後、鈴木勝大監督も冗談を交えながら西川の出来に苦言を呈し、さらなる奮起を促した。
茹だるような暑さはあるし、相手に警戒されていたら簡単に仕事はさせてもらえない。C大阪や代表での活動で上のレベルを知ったことで、周囲とのギャップを感じている部分も少なからずある。だが、いかなる状況でも結果を残さなければ、真のエースとは呼べないのも事実だ。
「いろんな経験が彼の肥やしになっている。チームに落とし込みながら、彼が一番感じていると思う。彼も責任感がある。今日の不甲斐なさは一番分かっているはずだから、次はやってほしい」
試合後、指揮官は西川にそう発破を掛けた。そうした言葉を送ったのも、「お前ならできる」と信じているからこそ。3回戦の相手は丸岡に決まった。西川は自らの真価を示せるか。
「プレッシャーはありますよ。だけど、次は見ていてください。やるしかないんで!」
次こそはチームメイトと勝利を分かち合い、飛びっきりの笑顔をピッチで見せるつもりだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)