江尻体制で巻き返しを図る千葉が抱える課題は?成長が示された岐阜戦の大勝

カテゴリ:Jリーグ

赤沼圭子

2019年05月24日

守備の使い分けを上手くできるか

江尻体制で再スタートを切った千葉。ここから順位を上げられるか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 J2リーグ・4節終了後にフアン・エスナイデル監督から江尻篤彦監督に指揮官を交代した千葉。江尻新監督はまず守備の改善に着手し、4バックだった最終ラインを3バックにするなどシステムを変更した。
 
 前体制では“ハイプレス&ハイライン”がスタイルとなったが、新体制ではラインを上げすぎずにブロックを構築する守備を採用した。すると、開幕からの4試合で10失点を喫していたディフェンスは、江尻体制の初陣(5節・京都戦)からの5試合では2失点と改善の兆しを見せた。
 
 もっとも、その5試合の得点数は3で、戦績は2勝2分1敗。目標のJ1昇格にはより多く勝点を積む必要がある状況下で、得点力不足が浮き彫りになった。
 
 そのため現在の千葉は、守備の改善で“後ろの意識”を強めた戦い方から、守備は前からの連動したプレス、攻撃はより前に出て行くこと、また縦パスを意識した戦い方へシフトチェンジしている。それでも無意識に重心が後ろになり、スコアレスドローに終わった9節の岡山戦は3本、2-1で競り勝った12節の甲府戦は2本とシュート数が少ない試合もあった。
 
 ただ、3-6-1のシステムにおいてウイングバックには左が為田大貴、右が茶島雄介と攻撃的な選手を配置している点において、前への意識を強めたいとの狙いが窺える。その成果もあってか14節の岐阜戦は5-1と大勝。先制点につながるCKを獲得した為田は、ウイングバックでのプレーについてこう話す。
 
「自分ではシャドーよりも生きるなと思っている。サイドに開いた状態で何回も仕掛けることはできると感じていたし、運動量の部分もある程度やれるなという感覚はあった。そこで起用してもらってタイミングよく前に出て行くシーンも増えているので、引き続き自分にしかできないことをやっていければなと思う」
 
 ただし、守備の改善にある程度の手応えを得る一方、10節の横浜FC戦と13節の山形戦は、対戦相手の選手交代や、戦い方、システム変更に対応しきれず1-3の逆転負けを喫した。今後は前からプレスをかける守備と、ブロックを構築する守備の使い分けを上手くできるかがポイントになるだろう。
 
 その点について、ディフェンスリーダーの増嶋竜也は次のように語る。
 
「ラインを含めたコントロールは少しずつ形になってきている。相手が何か変えても、自分たちで話し合ってその時に必要なやり方をできればいいと思う。江尻監督もうまく修正してくれている」
 
 また、江尻監督は戦術とは別の部分で選手に求めている点もある。それはプロとして“覚悟を持つ”ことや球際も含めて“戦う”ことだ。14節・岐阜戦の大勝は戦術とメンタルの両面で千葉が前進し、成長している証となった。
 
取材・文●赤沼圭子(フリーライター)
 
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