R・マドリー会長の移籍交渉力は超一流。ただ、チームマネジメントはジダン頼みで…

カテゴリ:ワールド

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2019年05月06日

圧倒的なブランド力を活かす。

ペレス会長(左)の獲得交渉術は世界随一。ただ、チームマネジメントはジダン(右)頼みだ。(C)Getty Images

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 移籍市場におけるレアル・マドリーの優位を支えているのは、圧倒的なブランド力だ。

 フロレンティーノ・ペレス会長の独裁は相変わらずで、スカウト部門は絶対的なキーパーソンがいるわけではない。とはいえ、優秀なスタッフが揃っており、とくに南米の若いタレントに対する感度の高さは特筆すべきものがある。マドリーほどのクラブになれば、黙って座っていてもエージェントからの売り込みは引きも切らないので、自然と情報が集まってくる部分はあるが。

 一度ターゲットを絞ってからの交渉力に関しても、最大の武器はやはりブランド力。マドリーから誘われて断る選手はそうはいない。もちろん資金力に関してもライバルを凌駕しているので、本気で獲得に動けば狙ったターゲットはそうそう外さない。17年夏にヴィニシウス・ジュニオールを獲得した時(チーム加入は18年夏)も、カネに糸目をつけずマドリーの名前で押し切った感があった。

 自らの強みを熟知してそれを最大限に利用しターゲットを射止めるという点で、ペレス会長の腕は傑出している。
 
 ただ、チームマネジメントに関しては、それは当てはまらない。ペレス会長とロッカールームのボスたちとの間には、常に軋轢が生じてきた。

 昨夏にアントニオ・コンテを監督に据えようとした時、セルヒオ・ラモスやマルセロの「拒否権発動」に遭って断念したのはその典型。その替わりに招聘したジュレン・ロペテギもチームを掌握できず、結局はロッカールームをコントロールするためにジネディーヌ・ジダンというカリスマを呼び戻さざるをえなかった。

 ロッカールームをコントロール下に置いているのは監督であって、クラブではない。そこにマドリーとペレス会長のジレンマがある。

[レアル・マドリーの強化部門&フロント採点]
●スカウティング:8点
●交渉力:9点
●チームマネジメント:6点
(すべて10点満点)

文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※ワールドサッカーダイジェスト2019年5月16日号より転載。

【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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