国内での無双に終止符が打たれた。ユベントスはコッパ・イタリア準々決勝でアタランタに０-３と完敗。５連覇に失敗し、セリエA、チャンピオンズ・リーグ（CL）との３冠達成の夢も消滅した。

　マッシミリアーノ・アッレグリ監督が就任してから、４年連続で国内２冠を達成してきたユーベ。その絶対的な覇権が終わりを告げたかたちだが、見方によっては良い“前兆”となるのかもしれない。

　セリエAで７連覇と圧倒的な強さを誇るユーベが今シーズン、クリスチアーノ・ロナウドを獲得したのは、なによりも欧州制覇という悲願を成し遂げるためだ。最後にユーベがCLで優勝したのは1996年と、23年も前のことになる。

　イタリア『Sport Mediaset』によると、その23年前のシーズン、ユーベはコッパ・イタリアで今回と同じアタランタに、同じ『アトレティ・アッズーリ・ディターリア』（アタランタのホームスタジアム）で敗れているのだ。

　また23年前のユーベは、１月に開催されたイタリア・スーパーカップでパルマに１-０と勝利してトロフィーを手にしている。今年もスーパーカップは夏ではなく１月に開催され、ユーベはミランを１-０で下してタイトルを獲得した。

　さらに、23年前にユーベが決勝で下したアヤックスは今シーズン、13年ぶりにCLベスト16に復帰した。決勝トーナメント１回戦で王者レアル・マドリーと対戦するが、現時点では決勝まで勝ち残る可能性を残している。

　この３つの事象が、CL優勝をめざすユーベの追い風になるというわけだ。やや強引に感じられるが、それだけイタリア国内でユーベの欧州制覇に対する期待が高まっているということだろう。
 

　ただし、アッレグリ監督は冷静だ。『Gazzetta dello Sport』紙によると、決勝進出を当然のように期待する報道陣に対し、「それならUEFAに直接決勝に行かせてくれと頼むさ」とクギを刺している。

「サッカーはプレステじゃない。C・ロナウドが来れば必ず優勝するというものじゃないんだ。敬意を払うべきだよ。我々は優勝をめざす。だが、ほかのチームたちもいるんだ」

　実際、アッレグリ監督は決勝トーナメント１回戦で対戦するアトレティコ・マドリーが「ユーベと同等」と述べている。

「準決勝にたどり着けるだけの力を持ったチームは、６～８つもあるんだ。つまり、そのうち４チームはそれまでに消えるということだよ。敗退したら、我々は批判されるだろう。それは正しいことだけどね」

　現実的な見方を崩さないアッレグリ監督だからこそ、目の前の試合に集中している。２月２日のセリエAでは、パルマをホームで迎え撃つ。現在の黄金期の幕開けとなった2011-12シーズン、アリアンツ・スタジアムでの最初の公式戦で下した相手だ。

『Sky Sport』によれば、以降のユーベは現在のホームスタジアムで圧倒的な強さを誇っている。公式戦197試合で157勝と、じつに８割に近い勝率（79.6％）を記録しているのだ。負けたのはわずか4.5％にあたる９試合のみ。リーグ戦に限れば、144試合で122勝と勝率85％をマークしている。

　ただ、油断は禁物だ。実際、ユーベがアタランタに３ゴールを許して敗れ、コッパ・イタリアから姿を消すと予想していた人は少ないだろう。昇格組ながら12位と健闘するパルマは、リーグでのアウェーゲームを２試合連続で制している。