アジアカップ準々決勝が１月24日に行なわれ、日本が１-０でベトナムに完封勝利を収めて、ベスト４へ駒を進めた。

　今大会でいわば台風の目となっていたベトナムの健闘もあって、接戦が繰り広げられた試合の行方を大きく左右したのは、このステージから導入されたVAR（ビデオ・アシスタント・レフェリー）による２度の決定的な判定だった。

　最初に起きたのは24分である。柴崎岳が供給したCKから吉田麻也が渾身のヘディングシュート。これがゴールネットを揺らすも、ハンドの判定となって取り消され、ノーゴールとなった。

　一度は泣かされた日本だったが、57分にはVARに救われる。

　ペナルティエリア内に切り込んだ堂安律が相手DFに倒された際に、主審はノーファウルで流したが、直後に情報が入り試合を止めて判定を見直した。最終的に堂安へのチャージはPKのジャッジに覆り、これを堂安自らきっちりと決めて、日本が勝利を手にした。

　試合後、奇しくもVARの“当事者”となった吉田麻也はフラッシュインタビューにおいて、「AFC側も審判側も前例を作るために使いたがるのは分かっていた」と語り、チーム内に影響がなかったことを強調した。だが、やはりアジアカップ史上初となるVAR判定が１試合で２度も起きたことは、欧州メディアでも大きな話題となっている。
 

　フランス・メディア『France24』は、「日本の歴史的なVARによるPKでベトナムが屈する」と銘打ったサマリー記事内で、「リツ・ドウアンはアジアカップで史上初めてのVAR判定によるペナルティキックを冷静に決めた。このゴールはまさに歴史的だ。ベトナムは最後まで努力を見せたが、それが報いられることはなかった」と記した。

　また、この試合について「勇敢だったベトナムを日本がかわす」と速報的に報じたスペイン紙『AS』も、アジアで初めて起きたVAR判定について、次のように論じている。

「VARが日本に勝利を手繰り寄せるペナルティキックを与えた。それに対してベトナムは英雄的守護神であるダン・バン・ラムが必死に止めにいったがダメだった。この判定が試合の運命を左右した瞬間だったことは言うまでもない。

　ベトナムは全力を尽くしたが、サムライブルーに対して深刻な脅威を与えるには、技術が足りなかった。とはいえ、彼らの戦う姿勢は勇敢で、その躍進は今大会における素晴らしいストーリーだったと思う。ただ、最後まで動じずに堅実なパフォーマンスを見せ続けた日本が準決勝へ駒を進めた」

　ベトナムに苦戦を強いられながらも、持ち前の勝負強さで２大会ぶりとなる４強に勝ち進んだ森保ジャパン。次なる相手は、“アジア最強”と言われるイランだ。

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