[選手権１回戦]仙台育英４-２一条／12月31日／駒沢
 
　初戦突破の立役者は屈強なセンターバックだった。前半14分、キャプテンのDF堀江凛太郎（３年）の直接フリーキックからDF小林虎太郎(２年)がヘディングで折り返し、185cmの長身DF今野太勢（３年）が豪快にヘディングシュートを決めて先制した。今野は「全国大会は得点が簡単にポンポン入りません。監督からもセットプレーが大切と言われ、紅白戦でもセットプレーは何度も練習してきました。監督からは自分の頭の上をボールが越したら、折り返しのボールが来るかもしれないからしっかり良いポジションを取って入り直せ、と言われていたことが頭をよぎりました。そうしたら良い折り返しが来ました」と練習の成果が出たことを明かした。
 
　この日センターバックコンビを組んだ小林のアシストだったが、「自分が２年生の時、県リーグ（セカンドチームが出場）で（小林）虎太郎と組むことが多かったので、そこでのコミュニケーションはしっかり取れています。自分がガツガツ言わなくても虎太郎から要求してくれるので、やりやすいです。虎太郎は常に遊んだりふざけたりするのが好きで、後輩だけど仲が良いので、この２人で決められて嬉しいです」とピッチ外でもコンビネーションの良い小林と２人で得点に絡めたのも嬉しかったようだ。小林も「絶対ボールがこぼれてくると思ったので、狙っていました。中に折り返せば誰かが決めてくれると思って折り返しました。太勢君が決めてくれて嬉しいです」と仲の良い先輩のゴールをアシストでき、笑顔を見せた。
 
　さらに前半24分、今野はPKを決めてこの日２点目を奪い、試合の流れをほぼ決定づけた。城福敬監督は「FW三田大史（３年）とMF仲澤岬希（３年）と３人の中で誰かが蹴るようにと指示しました」という。今野は「県予選決勝PK戦の一人目で自分はPKを外していたので良いイメージが無かったので、三田選手か仲澤選手に任せようと思っていたのですが、自分が先制点を取った流れもあったので二人が『蹴ってくれ』と言ってくれて、気持ちが軽くなりました。決まった時はとても安心しました」と県予選での失敗を払拭できたことにも安堵した。後半24分、「右足にモモカンが入って、左足で踏ん張ろうとしたらつってしまった」という形で交代となったが、勝利に大きく貢献した。
 
　今野は仙台市立東華中学校出身。東華中はベガルタ仙台MF奥埜博亮の出身校だが、奥埜はベガルタ仙台ジュニアユースの所属で、サッカー部には所属していない。東華中のサッカー部について今野は「中総体は県大会すらも行けず、最後の大会は地区大会の１回戦で負けるくらい力が無かったです」という。「初めは仙台育英に入るかどうか迷いました。周りはクラブ上がりの選手や東京方面から来た選手ばかりで、技術の差があると思ったので、育英に入るのは自分にとって一つのチャレンジでした」と入学を決めた時のことを振り返る。