前半からの苦しい流れをひとつのゴールが劇的に変えてみせた。

　クラブワールドカップの準々決勝、鹿島アントラーズ対グアダラハラは12月15日、UAEのハッザーア・ビンザイード・スタジアムで行なわれ、鹿島が３対２で逆転勝利を収めた。準決勝では、2016年大会の決勝で相まみえたレアル・マドリーとの再戦が実現する。

　グアダラハラ戦の前半は、開始早々の３分に失点。相手のタイトな守備に「自分たちのサッカーができなかった」（永木亮太）のは明白だった。しかし後半立ち上がり、「ハーフタイムに修正して絶対にチャンスが来ると思っていた」という土居聖真が、セルジーニョからのパスを受けて左サイドを打開。果敢な仕掛けから巧みに相手の股を抜くグラウンダーのクロスを供給すると、「本当に聖真が良いパスをくれた」と振り返った永木が右足で押し込み、ネットを揺らした。

　土居のクロスに“３列目”から飛び出したボランチの永木が合わせるという、一見意外な形ではあるが、この理由を殊勲の６番が明かす。
「（相手の裏の）スペースが空いていたので、空いていれば前に出て行こうという気持ちは試合前から持っていた」

　ゲーム前からアグレッシブな縦への意識を持っていたことで、カウンターからの絶好機を見逃さずに生かし切れたというわけだ。

　このゴールで俄然勢いが生まれた鹿島は、69分に土居が相手のファウルを誘ってPKを奪取。セルジーニョがPKを決めて逆転に成功すると、84分には安部裕葵が追加点を奪い、その後のグアダラハラの反撃を１点にとどめた。

　２ゴールを演出して勝利に大きく貢献した土居は「勝つことができてよかった。（レアル・マドリー戦は）またちょっと嫌だなと思わせたい」と、準決勝での“再戦”に期するところを見せれば、起死回生の一発を放った永木は「今日の後半みたいなプレーができれば、良い試合ができると思う。優勝を目指してやっているのでしっかり勝ちたい」と、R・マドリー戦の“先の風景”を見据えていた。