「DFW」からの進化を模索してきた槙野智章 「最高の舞台」で2018年の集大成を示す

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始

2018年12月09日

準決勝の鹿島戦は「守りから試合の流れを変えることができた」

2018年の最終戦で槙野はいかなるパフォーマンスを見せるのか。ACL出場権も懸かった大一番になる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

[天皇杯 決勝] 浦和-仙台/2018年12月9日/埼玉

 12月4日に行なわれた天皇杯準決勝の鹿島アントラーズ戦、浦和レッズの槙野智章は高い集中力を保って、無失点での勝利に貢献した。浦和にとって12年ぶりの天皇杯制覇まで、あと1勝と迫った。

 鈴木優磨が抜け出してフリーで放った左足のシュートを、身を挺したスライディングでブロックに成功。試合終盤には鹿島の執拗なパワープレーにまったく動じずはね返し続けた。苦しい時間はあっても最後まで守備網は破綻せず、「厳しい時間帯もあったが、ポジティブな声を掛け合うことができた」と浦和の背番号5は鹿島を失点0に抑えての勝利を喜んだ。

 身体を張ってゴールを死守し続けた。そのプレーを見ていて思い出されたのが、ロシア・ワールドカップの日本代表に選ばれた際の記者会見だった。

 そこで槙野はこう言った。

「以前はDFでありながらゴールも狙う『DFW』と自分で呼んできた。しかし、それでは監督からみると、どこで起用すればいいのかが分からない。ポリバレントという言葉はぴったりかもしれないが、常に2番手、3番手。それが落選してきた理由であり、強みを出さないといけないという気持ちに変わっていきました」

 悩みながらも自分自身と向き合ったDF槙野としての戦い――。そのスタイルを一段と磨き込んだ2018シーズン、リーグ戦では2010年以来となるイエローカード「0枚」で戦い終えた。そして進化を遂げてきた一つの形を、この準決勝で示してみせた。

 2018年は苦渋と充実のシーズンだった。浦和では2年連続の監督交代劇が起きた。そのなかでワールドカップの日本代表に選ばれ、ポーランド戦のピッチに立った。そして天皇杯決勝進出――浦和の3年連続の主要タイトル獲得まで、あと1勝に迫った。しかも舞台は埼玉スタジアムだ。

 2018年を締めくくる最高のシチュエーションが整った。槙野は言う。
 
「リーグ戦の最後は、守備陣によって勝点を積み重ねられる試合がなかなかなく、攻撃陣に助けてもらう試合が多かった。今回は宇賀神選手のスーパープレー(アディショナルタイムにセルジーニョの枠内シュートをクリア)など、守りから試合の流れを変えることで、前の選手たちを助けることにもつながりました。
 決勝は前の選手たちにしっかり点をとってもらって、僕たちはしっかりと守備をする。お互いの仕事をまっとうできたらいいかなと思います」

 国内タイトルは、常に「あと一歩=あと1勝」で涙を呑んできた。浦和優位と言われる風潮のなかで負けてきた。天皇杯も2016年元日、ガンバ大阪に1-2で敗れ、目の前でタイトルを逃している。

 今回はオズワルド・オリヴェイラ監督の下、とにかく勝つこと――失点を抑えることに神経を注ぎ、浦和にとって同大会12年ぶり、槙野にとって初めての歓喜の瞬間を目指す。

取材・文:塚越 始
【関連記事】
「温度差がすごいな…」槙野智章が鹿島戦快勝後の“レッズ重鎮トリオ”にまさかの注文!?
西川周作が米農家に転身⁉「何だこれ⁇笑 ギャグだろ!」槙野智章も思わずツッコんだJ公式動画が話題に
引退も掠めた? 外国人枠増や契約問題まで… 中村俊輔が残留決定後に注目発言を連発!
【天皇杯 決勝展望】浦和×仙台|12年ぶりか初優勝か⁉ACL出場権を懸けた頂上決戦の鍵は?
【J1ベストイレブン】今年最後の11人は!? 2ゴールで起用に応えた浦和の李をMVPに!ジョーと中山を2週連続で|34節

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト いざアジア王者へ!
    5月10日発売
    悲願のACL初制覇へ
    横浜F・マリノス
    充実企画で
    強さの秘密を徹底解剖
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ