“北京五輪10番”梶山陽平の引退に「あいつだけなんだよ…」と恩師・反町監督も寂しさ

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2018年11月14日

「今は、おつかれさま、という気持ちだ」

北京五輪では10番を背負った梶山。当時の指揮官・反町も大きな期待を寄せていた。(C)Getty Images

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 柔軟なテクニックを武器に、独特のテンポでパスを捌く。視野の広さも大きな武器のゲームメーカーだ。
 
「俺もそう思うよ」
 
“かつての教え子”の印象について、反町康治も同意する。現在は松本山雅FCの監督の任に当たるが、10年前の2008年、北京五輪代表チームを率いた指揮官だ。
 
 その北京五輪で10番を背負った梶山陽平が、11月14日、今季限りの引退を発表した。
 
「今日の朝、(ニュースを)見たよ」
 
 33歳でスパイクを脱ぐ決断。反町監督も「寂しさはある」という。
 
 10代から日の丸を背負い、同世代の選手からも一目置かれる存在だった。反町監督もその実力を高く評価していた。
 
「北京五輪の本大会、グループリーグの2試合目(ナイジェリア戦)では先発から外したけど、それ以外では、招集した時はだいたいスタメンで起用していた。それぐらいチームの主軸としてやってもらっていた」

 それほどの逸材ゆえに、反町監督にはひとつの“驚き”がある。
 
「あいつだけなんだよ、北京五輪で選んだメンバー18人の中で唯一、フル代表に呼ばれていないのは。だから、もがき苦しんだとは思う」
 
 吉田麻也、長友佑都、岡崎慎司、香川真司、内田篤人……反町ジャパンからは、その後ワールドカップに出場する者もいれば、現在の日本代表に名を連ねる選手もいる。だが「ずっとあの世代では、ナンバーワンで期待されていた」梶山だけ、A代表未招集だ(2011年のアジアカップでは予備登録メンバー選出)。
 
「実力どおりの力を発揮できたはずだし、もっと日本サッカーに貢献できる力はあった」

 どこか無念さを滲ませる反町監督に、梶山が持てる能力どおりに周囲の期待に応えられなかった要因について聞けば、「怪我だろうな」と推測する。

 北京五輪後、足首や膝の怪我に悩まされる時期は少なくなかった。思うように力を出し切れない時もあったはずだ。
 
「大変だったと思う」。反町監督は梶山のキャリアを慮るが、ただ本人の意思は尊重する。「今は、おつかれさま、という気持ちだ」と静かに語った。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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