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【2014南関東総体】世代屈指のボランチ鈴木徳真が「裏方」に専念できる強さ|前橋育英 2-1 星稜

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2014年08月06日

バランサーに徹するなかでも見せる「質の高い自己主張」。

今大会の鈴木はバランサーに徹しているものの、要所で一瞬の輝きを放つ鋭さも持っている。(C) SOCCER DIGEST

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 前橋育英の快進撃は止まらない。準々決勝の相手は、昨年度の選手権準優勝校の星稜。難敵を相手に前半18分、トップ下のMF野口竜彦のスルーパスに抜け出したFW青柳燎汰が冷静にGKとの1対1を制し、先制弾を挙げる。
 
 前半30分に星稜のMF杉原啓太に鮮やかな反転シュートを浴び、同点に追いつかれるが、選手たちは動じなかった。後半に入っても、最初のチャンスを作り、野口が左ポスト強襲の強烈なシュートを放つ。そして後半22分、交代出場のMF吉永大志の右からのクロスを、エース渡邊凌磨が押し込んで、勝ち越しに成功する。その後も守備陣の集中力は切れず、星稜の攻撃を1点に抑え込んで、2-1の勝利。優勝した2009年以来の、5年ぶりのベスト入りを決めた。
 
 この大会、前橋育英にはふたりの全国的な注目選手がいた。この日決勝点を決めたMF渡邊凌磨と、MF鈴木徳真だ。ふたりは昨年のU-17ワールドカップに日本代表として出場し、今大会後の8月中旬に開催されるSBSカップ(静岡)に参戦するU-19日本代表にも、ともに名を連ねた。
 
 世代きってのタレントがふたりいるが、この試合で決勝点を挙げるなど、1回戦からの全4試合で得点に絡む(3得点・3アシスト)活躍した渡邊に対し、鈴木は今大会それほど目立っていない。しかし、そこには、この快進撃を象徴するある理由があった。
 
「周りのみんなの動きがすごく良くて、自分はバランスを取る役割に専念しているんです」
 
 準々決勝後、鈴木は少し笑いながらこう話した。今大会、渡邊だけでなく、青柳、野口が絶好調をキープ。鈴木とダブルボランチを組む小泉佳穂も絶好調で、豊富な運動量と積極的なビルドアップで攻守の中心となっている。
 
 インターハイ前までは、中盤で鈴木が孤軍奮闘するシーンが多々見られた。特に地区予選決勝の常盤戦では、鈴木が広範囲をカバーする形で、相手のカウンターをシャットアウト。なかなかチャンスを決め切れないアタッカー陣を支え続け、延長戦での渡邊のゴールで辛うじて代表権を手にした。
 
 それが今大会に入ると、見違えるように全体の動きが流動性と躍動感を増した。鈴木への負担は大きく軽減され、持ち前の状況判断と全体的なバランス感覚の良さを生かして、好調のアタッカー陣の勢いを消さないように、微妙な組織のバランスを取り持つようになったのだ。組織の安定感が格段に増したのは言うまでもない。
 
「みんなのプレーには本当に驚かされる。今大会は仲間に助けられながらサッカーをしている。だからこそ、僕もそれに甘えるのではなく、バランスを考えながらも、時にはみんなの絶好調に割って入れるプレーをしたいですね」
 
 チームメイトの頼もしさに目を細める一方、「俺もいるぞ」というアピールは、虎視眈々と狙っている。3回戦の矢板中央戦では、得点には至らなかったが、渡邊の決定的なシーンを鮮やかなスルーパスで演出。星稜戦でも前半12分、インターセプトから一気にペナルティーエリア内までドリブルで侵入して際どいシュートを放つと、後半25分にやはりインターセプトからドリブルで駆け上がり、野口のポスト直撃のシュートを演出した。
 
「僕はそんなに目立たなくていいけど、やっぱりみんなの好調ぶりを見ていると、『自分も』という気持ちになりますよね。だから、そんなに回数は多くはないけど、必ず決定的な仕事ができるように、そのタイミング、質を上げることを意識しています」
 
 準決勝・大津戦では、「質の高い自己主張」がどこで見られるか。一瞬の輝きを見逃さないように――。中盤の底で裏方に徹する大黒柱から目を離してはいけない。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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