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【小宮良之の日本サッカー兵法書】 実は紙一重の勝利だった初陣…森保ジャパンが次になすべきは!?

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2018年09月23日

もし相手の決定機が先に決まっていたら…

コスタリカ戦では日本が先制し、勢いに乗った。ただ、このようにうまく事が運ぶ試合ばかりではない。今後は監督の采配も含め、チームとして試合運びを熟成させていく必要がある 写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 ボール支配率など、参考にしかならない。
 
 それを思い知らされたのが、森保ジャパンの初陣となったコスタリカ戦である。
 
 この国際親善試合、日本はイニシアティブを握って、3-0で完勝。速いパス回しで攻め立て、ほとんど相手に攻めさせなかった。
 
 しかし、ボール支配率において上回ったのは、コスタリカの方だ。両チームの差はたったの0.6パーセントであり、五分五分と言うのが妥当だろうが、数字は「中米の雄が優勢だった」と語っているのだ。
 
 このような“数字の嘘”は、ボール支配している際の状況までは表わし切れないことからに生まれるのだろう。バックラインでボールを横に動かす。そうやっていくら時間を稼いでも、それは「優勢」には結びつかない。
 
 むしろ、日本は相手ボールに激しく寄せ、敵ゴールに近い位置でチャンスを生み出そうとしていた。重圧がかかっていたのは、コスタリカの方だったと言える。攻めながらも守備の準備ができていた日本は、こぼれ球を拾い、敵を寄せ付けないプレーをしていた。
 
 もっとも、「(その印象よりも)拮抗していた試合だった」と言える部分もある。この日、最初に決定機を得たのは、コスタリカの方だった。ヘディングを跳ね返し、右サイドでボールを拾い、佐々木翔の軽いディフェンスをかわしてエリア内まで侵入。鋭い切り返しから、左足で際どいシュートを放っている。
 
 もし、この一撃が決まっていたら……。試合は、どう傾いてもおかしくはなかったと言えるだろう。しかし、当の佐々木が先制点のオウンゴールを誘発するヘディングを放っている。ここに、サッカーの入り組んだ面白さがあると言えるかもしれない。
 
 日本はリードしたことにより、勢いに乗ってプレースピードを加速させた。相手がラフなコンタクトでそれを断ち切ろうとすると、長いボールで一気に急所を突く。変幻な攻撃を見せるようになった。
 
 そして後半に入ると、日本は完全にペースを握る。5バックのラインを押し下げ、中島翔哉、南野拓実らが躍動。そして2点目のシーンでは、ボランチの遠藤航が高い位置を取り、中島にボールを預けてからスペースを走ってリターンを受け、ラストパス。これを受けた南野は、完璧なフィニッシュを見せた。
 
「選手たちが戦う気持ちを見せ、それぞれの責任を全うしてくれたと思います」
 
 試合後の会見で、森保一監督は訥々(とつとつ)と言葉を継いでいる。
 
「選手は、粘り強く戦ってくれました。しかし、もっと点を取るチャンスがあったし、守備でピンチがなかったわけではありません。そこは、これから高い要求をしていかないと」
 
 実際、試合の流れはどちらに傾いてもおかしくはなかった。流れを得るには、技術面、体力面、戦術面、そして心理面での優位が必要だが、どうにでも転ぶこともあり得る。油断はならない。
 
 強豪相手にペースを掴まれた時、どのように反応するのか――。次に森保ジャパンが問われるのは、その対応だ。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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