あの“怪人”が電撃復帰を飾った。現役時代にミランやパリ・サンジェルマンで活躍した元リベリア代表FWジョージ・ウェアが、９月11日に行なわれたナイジェリア戦に出場して話題を呼んでいる。

　ウェアは、その巨躯を利したパワフルなプレーの数々でファンを魅了し、「リベリアの怪人」として親しまれた。ミランに在籍した1995年にはバロンドールを受賞。現在もアフリカ人のバロンドール受賞者としては唯一無二だ。

　2003年にUAEのアル・ジャジーラで現役を退いてからは、母国の情勢を立て直そうと政治家に転身。そして、昨年12月にリベリアの大統領選に勝利。各地の投票所でスタッフの不手際のために混乱が起きるなど、様々な騒動に見舞われながらも、元サッカー選手が大統領に就任するという前人未到の偉業を成し遂げたのである。

　その現役引退から15年――、51歳となった“リベリアの怪人”はピッチに戻ってきたのである。自身が現役時代に代表で着用していた背番号「14」を永久欠番とするため、リベリア・サッカー協会が開催した試合に出場したのだ。

　とはいえ、単なるフレンドリーマッチではない。ナイジェリアの面子は、ケレチ・イヘアナチョ（レスター）やピーター・エテボ（ストーク）、ウィルフレッド・ディディ（レスター）など錚々たる陣容で、しっかりと強化を図るための顔触れなのだ。

　そんな“本気”の一戦で、先発出場を飾ったウェアは79分間のプレーの中で、FKを蹴るなどハツラツとプレー。試合は１-２で落としたものの、観客を大いに沸かせた。

　この鮮烈的なニュースを報じた英公共放送「BBC」は、「国のリーダーとなったウェアは、本気のナイジェリアを相手に懸命にプレー」とサマリーを綴り、英紙『Independent』も、「攻撃を牽引したウェアは、自らがかつて世界一のフットボーラーであったことを証明してみせた。79分にピッチを後にする際には、観客から万雷の拍手を浴びた」と、そのプレーぶりを称えている。

　15年ぶりのプレーにも、現役時代と変わらない存在感を放ったウェア。今後は活躍の場を議会に移し、国を背負い、世界をまたにかけてリベリアの改善に努めることだろう。