陸上の男子100メートル、200メートルの世界記録保持者であり、五輪で獲得した金メダルは通算８個。この前人未到の記録を持つ”人類最速の男”ウサイン・ボルトが、オーストラリアで初のトレーニングを行なった。現地メディアのほか、英国のサッカー専門誌『Four Four Two』など複数のメディアが報じている。

　ボルトは、Aリーグ（オーストラリア１部）のセントラル・コースト・マリナーズと、“永年トレーニング契約”を結んでいる。これはプロサッカー選手としての契約とは異なるが、チーム側はトレーニングの状態などを見て、プロ契約のチャンスを与えるとしている。

　土曜日にオーストラリアに到着したボルトは、21日から練習に参加。ジャンパーに身を包み、手袋を着用して、ジョギングや15分のドリブル・パス練習などをこなした。

　そして、練習後にマイク・マルベイ監督とともに会見に臨んだボルトは、改めて「プロサッカー選手になりたい」という野望を口にしている。

「プレッシャーは特に感じていない。僕はここで自らの能力を知り、学んで、もっと良くなることを考えているだけだ。プレーするポジションは、個人的にはCFがいいと思うけど、監督が見て決めてくれるのであれば、それがいい。

　僕は決して、世界で初めてのひとりになりたいわけではなく、サッカー選手になりたいだけだ。世間や人々がいろいろと言いたがるのは分かっている。でも僕は、それが間違っていると証明するよ」

　これを隣で聞いていたマルベイ監督は、こうコメントした。

「彼がプロとして出場するかしないか、明日すぐに決める必要はないんだ。彼が我々のクラブを選んだことをとてもうれしく思うし、ここには彼をサポートするコミュニティーがある。

　もし、（デビューまでに）12か月間かかったとしても、私は彼がここにいてくれることを幸せに思うよ。すでに、これだけのメディアと世界からの注目を、このクラブにもたらしてくれた。これは本当にすごいことだ。

　31日にはテストマッチを予定しているが、それまでにボルトの準備も整うだろう」

　果たして、ボルトの「プロサッカー選手になりたい」という夢は、オーストラリアの地で実を結ぶのだろうか。

　また、日本のファンがどうしても気になるのが、今シーズンからＡリーグのメルボルン・ビクトリーに加入した本田圭佑との対戦だ。奇しくもAリーグ内でライバル同士とされるC・マリナーズとメルボルン・Vの対戦は、Aリーグ第４節の11月11日に予定されている。