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【W杯キープレーヤー解体新書】ハビエル・マスチェラーノ|戦術上の欠陥をカバーする無二の存在

カテゴリ:国際大会

ロベルト・ロッシ

2014年07月09日

優れた戦術眼に基づいた危機察知能力は特筆に値する。

強いパーソナリティーと卓越したリーダーシップを持つマスチェラーノは、守備陣の頼みの綱だ。 (C) Getty Images

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 アルゼンチンの中盤で唯一の守備的なプレーヤーであり、攻守のバランスを確保するうえで絶対不可欠な存在だ。
 
 所属するバルセロナではセンターバックを務めているが、代表では一貫して本職のボランチでプレーしている。パスセンスはお世辞にも質が高いとは言えず、ビルドアップの能力は平均レベルだ。しかしながら優れた戦術眼に基づく危機察知能力と積極果敢なフィジカルコンタクト、そして確実にターゲットを捕えるボール奪取力は、いずれも特筆に値する。これらの武器を駆使し、リーベル、リバプール、バルセロナと、さまざまなクラブとリーグで、コンスタントにハイパフォーマンスを発揮してきた。
 
 2人のインサイドハーフを含めて、攻撃的なプレーヤーを4人、5人とピッチに送り出す一方で、スピードにも1対1の強さにも欠ける凡庸なCBしか持たないアルゼンチンは、ともすれば攻守が分断しがちだ。その戦術上の欠陥を巧みにカバーしているのが、マスチェラーノである。
 
 縦パスにフィルターをかけて最終ラインをプロテクトし、アグレッシブな潰しでボールを強奪。事実、最大のアキレス腱であるディフェンス網の脆弱性が、それほど頻繁に露見せずなんとか機能しているように見えるのは、その手前で防波堤となってピンチの芽を摘み取る、この男の奮迅の働きがあればこそだ。
 
 強いパーソナリティーと卓越したリーダーシップは、マスチェラーノを代えの利かない存在たらしめているもうひとつのポイント。とりわけその統率力は、周囲を束ねるリーダーがいない守備陣にとって頼みの綱だ。CBのレギュラーを務めるガライ、F・フェルナンデスは、それぞれの所属クラブでルイゾン(ベンフィカ)、アルビオル(ナポリ)にリードしてもらっている状況。マスチェラーノは、最終ライン全体に落ち着きと安心感を与えるリーダーとしても、重要な役割を担っている。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト 出場32か国戦術&キープレーヤー完全ガイド』p75より抜粋。
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