「人間として、これを望んでいた」(クロップ監督)
8月7日(現地時間)、リバプールは本拠地アンフィールドにトリノを迎え、プレミアリーグ開幕前の最後のテストマッチを、地元大観衆の前で行なった。
試合は、16分にPKをファビーニョが失敗したものの、21分にフィルミーノのシュートで先制すると、24分にはヴァイナルダムがフィルミーノのアシストを受けて加点し、終了間際の87分にシャキリのラストパスからスターリッジが頭でダメ押し。リバプールが3-1で勝利を飾った。
試合は、16分にPKをファビーニョが失敗したものの、21分にフィルミーノのシュートで先制すると、24分にはヴァイナルダムがフィルミーノのアシストを受けて加点し、終了間際の87分にシャキリのラストパスからスターリッジが頭でダメ押し。リバプールが3-1で勝利を飾った。
ウェストハムとのリーグ開幕戦から4日前ということで、選手の入れ替えは頻繁に行なわれたが、印象的な瞬間が訪れたのは73分。今夏にGKとして史上最高額となる6250万ユーロ(約81億3000万円)の移籍金でローマから加入したアリソンがピッチを退き、代わりにカリウスが登場した時だった。
カリウスといえば、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝レアル・マドリー戦、ベンゼマへの“アシスト・スロー”、そしてベイルのミドルの後逸という2つの失点に直結するミスを犯し、敗北(1-3)の「A級戦犯」として激しいバッシングを浴びた。
後に、試合中に脳震盪を起こしていたことが明らかになり、クロップ監督も傷心の守護神を擁護したが、それ以前の試合でも不安定なプレーが散見したこともあり、カリウスの実力を疑問視する声は消えず、実際、指揮官も安定感のあるGKが必要であることを明言、アリソン獲得にゴーサインを出していた。
彼自身が告白したように、悪夢のCL決勝以降、辛い日々を送ってきたカリウスだが、アリソンが加入した後も正GKを目指すことを宣言。そんな彼にアリソンも敬意を表し、背番号1ではなく13番を選択したのだった。
今夏のプレシーズンマッチでは、最初の2試合(対ドルトムント、マンチェスター・シティ)でカリウスが先発出場するも、ナポリ戦からはアリソンがスタメンに取って代わっていた。
そしてトリノ戦。カリウスがアリソンとの交代でピッチに入り、ゴールマウスに向かうと、アンフィールドのサポーターたちはスタンディングオベーションで、彼を迎えた。大いに傷つき、そして今は逆境からの巻き返しを誓う25歳のGKを歓迎し、激励した彼らの姿勢に感激したのは、クロップ監督だった。
カリウスと同じドイツ人の情熱的な指揮官は、この出来事についての印象を以下のように語っている。
「驚きはしなかったが、人として、これを望んでいた。とても好ましいことだ。非常に厳しいこの世界で、優しさを示すことは不可能なのか? いや、それは可能だと思う。今夜、彼らは素敵な面を見せてくれた。
これはロリス(・カリウス)だけでなく、アリソンにとっても大いに助けになる。ここが、特別な場であることが分かっただろうからね。本当に素晴らしい行為だった」
また、カリウスも自身のツイッターで、この場面の動画とともにアンフィールドのファンへの感謝の言葉を投稿している。
今オフに充実の戦力補強を施し、新シーズンは優勝候補としてプレミア、CLに臨むリバプール。最後の準備で身体も心も温まり、いよいよ戦いは始まる。快進撃が期待されるチームがファンの前でどのようなプレーを披露するか、そしてカリウスはいかなる貢献を果たせるか、非常に興味深く、楽しみだ。