[Ｊ１リーグ18節]鳥栖０-０磐田／７月28日／ベストアメニティスタジアム
 
　サガン鳥栖に加入したフェルナンド・トーレスは、ベガルタ仙台戦に続き、ジュビロ磐田戦でも不発に終わった。徐々に日本にも慣れ、コンディションも上がっているとはいえ、まだ来日して２週間ほどで、トップフォームにはほど遠い状態だ。
 
　当然コンビネーションにも課題を残す。磐田戦後には「チームとも連係を強化していきたい。そのためにもチームメイトの特徴をいち早く理解する必要があると思います」と話している。
 
　そんなF・トーレスが活躍するための鍵は、ある男が握っているかもしれない。それが今夏、韓国の蔚山現代へのレンタル期間を終えて、鳥栖に復帰した豊田陽平だ。
 
　海外で半年間プレーした今だからこそ、豊田には感じるものがある。復帰後初出場を果たした磐田戦後、こう話している。
 
「僕も韓国に行って感じましたけど、なかなか殻を破るところ、本来の自分を出すには、ある程度時間がかかる。すぐに破れる選手もいますけど、トーレス選手はずっとヨーロッパでやっていて、異なる文化の国に来た。例えば練習が終わって『お疲れ様です』と言われても、初めは『何を言っているんだ』と思うでしょう。そういう文化がないなかでやってきていますからね。そこで周囲が殻を突いたりが必要になってくる。僕たちから話しかけるのがメインになってくるだろうなと、ここ数週間で感じています」
 
　元スペイン代表で、アトレティコ・マドリーやリバプールなどの世界的ビッグクラブで活躍してきたF・トーレスの実力は疑いの余地はない。ただ、その持ち味を発揮するためには、豊田が言うように、周囲のサポートが重要になってくるだろう。
 
　さらに続けて豊田は言う。
 
「半年間韓国に行っていたので、気持ちは少なからず分かる。サッカーの面はもちろん自分でやれるので、生活面だったり人間関係の部分を、言葉の通じる加藤（恒平）選手だったりと協力して、みんなと滑らかにコミュニケーションを取れるようにしなきゃいけない。僕も向こうでストレスを発散できないことが辛かったところ。ちょっとした愚痴を溜め込まないようにしたいなと思います」
 
　当然同じFWとして、試合中のサポートも求められるが、鳥栖在籍通算９年目を迎え、昨季はキャプテンも務めた豊田だけに、ピッチ外でも新加入のスペイン人ストライカーを支える仕事も要求される。F・トーレスの活躍に欠かせないキーマンとなりそうだ。
 
取材・文●多田哲平（サッカーダイジェストWEB編集部）

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