【番記者通信】シャビこそがバルサ|バルセロナ

カテゴリ:メガクラブ

ルイス・マルティン

2014年03月01日

“ティキタカ”という概念が肉体を得たもの。

34歳になったいまも、絶対的司令塔として存在感を示すシャビ。「バルサそのものだ」と、マルティン記者は表現する。 (C) Getty Images

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 前回のコラムでは、バルサが過去を見つめ直すことで前に進もうとしている、と書いた。それがどうだろう。続く試合で、タタ・マルティーノはシャビとセスク・ファブレガスを休ませ、アレクサンドル・ソングとセルヒオ・ブスケッツを同時起用するという、“別のスタイル”でレアル・ソシエダと対戦し、いいところなく敗れた(1-3)。このドブレ・ピボーテ(ダブルボランチ)は、昨今のスペイン代表を連想させる。ブスケッツとシャビ・アロンソだ。しかし、ソングはアロンソではない。そしてなにより、代表ではつねにシャビがプレーしているのだ。

 シャビは存在そのものがひとつの概念である。コンディションに問題がないかぎり、つねにプレーすべき希有な存在だ。だが、ソシエダ戦は使われなかった。テクニカルディレクターのアンドニ・スビサレータは、34歳になったシャビの後継者として、21歳のラフィーニャを考えているのかもしれない。カンテラ育ちのタレントだ。もっとも、現在はセルタにレンタル中である。

 タタがシャビをベンチに置いたのは、今回が初めてではない。負傷を恐れてか、疲労の蓄積を憂慮してか。しかし、ソシエダ戦でシャビはプレーするべきだった。4日前のチャンピオンズ・リーグ、マンチェスター・シティ戦にフル出場したとはいえだ。その次のアルメリア戦までは中7日あった。ソシエダ戦でシャビを使い、その後に休養させる手はなかったか。

 シャビはスペイン・サッカー界が生んだ最高の才能だ。バロンドールを取った経験はない。リオネル・メッシと同時代を生きたそれは不運だろう。とはいえ、いまのバルサで、バルサのユニホームを着てもっとも多くの試合に出場しているのがシャビであり、いわばバルサのサッカーそのものなだ。“ティキタカ”という概念が肉体を得たもの、それがシャビなのだ。

 シャビは言う。「クライフがティキタカを発案したんだ」と。その通りだ。そのアイデアを近年のバルサで具現化したのは、シャビであり、彼の頭脳だ。

 シャビをベンチに置くのは、贅沢であり、馬鹿げている。バルサは今もシャビに根差してチームを作るべきなのだ。そうすれば、アノエタ(ソシエダの本拠地)でのような悲劇的な結果を呼ぶこともないだろう。

 シャビのバルサでの日々が終わりに近づいているのは、本人が一番よく分かっている。年齢が年齢だ。このままバルサで引退するかもしれない。あるいはニューヨークに行くかもしれないし、カタールかもしれない。しかし、まだあともう少し、私たちはそのプレーを楽しめる。もしタタがバルサのエッセンスを重んじるなら、そう、シャビをベンチに置くわけにはいかない。彼こそが、バルサなのだ。

【記者】
Luis MARTIN|El Pais
ルイス・マルティン/エル・パイス
スペインの一般紙『エル・パイス』のバルセロナ番とスペイン代表番を務めるエース記者。バルサの御用新聞とも言えるスポーツ紙『スポルト』の出身で、シャビ、V・バルデス、ピケらと親交が厚く、グアルディオラ(現バイエルン監督)は20年来の親友だ。

【翻訳】
豊福晋
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