【番記者通信】過去を見つめ直し、深い森を|バルサ

カテゴリ:メガクラブ

ルイス・マルティン

2014年02月25日

復活を遂げつつある、圧倒的ポゼッション

就任当初、「彼はバルサの過去に別れを告げようとしている」とマルティーノのサッカーには批判めいた論調も。 (C) Getty Images

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 バルセロナに変化が見える。ジョゼップ・グアルディオラ前監督時代のような、圧倒的なポゼッションサッカーが復活を遂げようとしているのだ。

 国王杯準決勝のレアル・ソシエダ戦(第1レグが2-0、第2レグが1-1)、リーガ・エスパニョーラ24節のラージョ・バジェカーノ戦(6-0)、チャンピオンズ・リーグのマンチェスター・シティ戦(決勝トーナメント1回戦・第1レグで2-0)と、2月中~下旬の試合で、かつてのバルサの姿を見ることができた。

 今シーズンから指揮を執る新監督のヘラルド・マルティーノは、よりダイレクトなサッカーを注入しようとしていた。
「彼はバルサの過去に別れを告げようとしている」
 多くの記者がそんな批判めいた論調だった。

 そうした見方は間違いだった。マルティーノは新たな要素、すなわち最終ラインからのロングボールや縦に速い攻撃を取り入れながらも、「バルサらしさ」を捨てようとしたわけではなかったのだ。

 タタ(マルティーノの愛称)が追い求めているのは、あくまでもリズムの良いパスサッカーであり、前線からのプレス、つまりはバルサそのものなのだ。いま、バルサは過去を見つめ直すことで、前に進もうとしているのだ。

 バルサらしい、テクニカルなプレーヤーをピッチに配すること――。実にシンプルだ。セスク・ファブレガス、アンドレス・イニエスタ、シャビ、セルヒオ・ブスケツをプレーさせるのが重要、それは誰だって知っている。ローマ法王ですら知っている。もちろん、タタにもミスはあった。試合が均衡した終盤にシャビを下げたカードの切り方や、イニエスタとペドロ・ロドリゲスをベンチに置く采配などがそうだ。

 しかし、いまここにあるバルサは、そう遠くはない昔のバルサを思い出させてくれる。
「大事なのは」
 ある時、タタはこう選手に語りかけたという。
「君たちがやれることを、ピッチの上でやるだけなのです。そうすればバルサは勝てる」

 ネイマールの獲得を巡る不正疑惑で、1月に辞任に追い込まれるまで、サンドロ・ロセイ前会長は、来シーズン、現ブラジル代表監督のルイス・フェリペ・スコラーリをタタの後任に招聘するプランを温めていたという。ロセイが去ったいま、それはあり得ないはずだ。なにより、タタはバルサの指揮官に値する。

 思えば、現役時代のタタは繊細なタッチが持ち味のMFだった。ピッチでは必要以上に走らず、ボールを走らせた。

 タタとバルサは、まさにそのようにして、過去の、グアルディオラ時代のサッカーを取り戻そうとしている。タタが目指したのは、過去と自分たちを見つめ直すことで、深い森から抜け出すことだったのだ。

【記者】
Luis MARTIN|El Pais
ルイス・マルティン
スペインの一般紙『エル・パイス』のバルセロナ番とスペイン代表番を務めるエース記者。バルサの御用新聞とも言えるスポーツ紙『スポルト』の出身で、シャビ、V・バルデス、ピケらと親交が厚く、グアルディオラ(現バイエルン監督)は20年来の親友だ。

【翻訳】
豊福晋
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