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「まさにスーパーヒーロー!」祖国への想いを胸に“アルプスのメッシ”がセルビアを切り裂く!

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年06月23日

敵陣を疾走して決勝弾をマーク!

自慢のマッチョボディーを公開してこのドヤ顔! スイス代表のアイコン、シャキリが最後の最後で大仕事をやってのけた。(C)REUTERS/AFLO

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 降りしきる雨の中、スイスを歓喜に導いたのは、身長169cmの「アルプスのメッシ」だった。

 6月22日、ロシア・ワールドカップのグループEでセルビアと対戦したスイスは、開始わずか5分でアレクサンドル・ミトロビッチにパワフルなヘディング弾を決められ、その後もパワーの前に押し込まれる苦しい展開となる。

 それでもアルプスの赤き精鋭集団は意地を見せる。52分、ゴール前でのこぼれ球に反応したグラニト・ジャカが豪快なミドルシュートを蹴り込んで同点とし、そして雨脚が強まるなかで迎えた試合終了間際の90分、味方のスルーパスに抜け出したジェルダン・シャキリが敵陣を疾走。最後は相手GKとの1対1を制してフィニッシュした。

 結局、2-1でスイスがセルビアに逆転勝ちを収め、グループ首位に浮上したのだが、この試合の最高殊勲者を挙げるとするならば、やはりシャキリだろう。

 まず、先制点の場面でも、ジャカの元にボールが転がり込む直前に右サイドから果敢に仕掛け、惜しいシュートを放っていたのはシャキリだった。この試合では、あのリオネル・メッシにもなぞらえられる持ち前の重心の低いドリブルで、度々勝負してはフィニッシュまで持ち込んだ。
 
 そして圧巻だったゴールシーンは、まさに自信に満ち溢れたものだった。相手守護神ウラディミール・ストイコビッチとの1対1を得意の左足で冷静に制した直後に上半身裸になると、引き締まった肉体美を披露。その「どうだ!」と言わんばかりの表情からもコンディションの良さが窺い知れた。

 試合後、シャキリを英紙『Gurdian』は絶賛し、「その仕事をやるのは彼でなければいけなかった。ゴールを奪って試合を決定付けたシャキリの肉体はすさまじく、スーパーヒーローのようだった」と綴っている。

 シャキリがセルビアとの一戦で並々ならぬ闘志を漲らせ、思わずユニホームを脱ぐほどの興奮を見せたのには訳がある。実はシャキリ、生まれ故郷はスイスではなく、10年前にセルビアから独立したコソボなのだ。

 バルカン半島の内陸部に位置するコソボは紛争の絶えない地域であり、セルビアから独立した際にも多くの犠牲者と難民を出していた。そうしたことから1991年にコソボの大半を占めるアルバニア人の両親の間に生まれてから間もなくスイス・バーゼルへと家族と移住していたシャキリだが、今も祖国への愛着は強い。コソボが2016年にFIFAへ正式加盟した際には、国籍変更を本気で希望したほどだ。

 昨年12月にロシアW杯での組み合わせが決定した際には、「最高の抽選結果だ」とセルビアを意識して鼻息を荒くしてもいたシャキリ。ゆえに今回の一発は、スイスを勝利へ導くとともに、祖国へと捧げるゴールでもあったのだ。
 
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