【総体】”NEXT鎌田大地”は一体何者なのか。東山で技を磨く10番が夏の全国舞台で覚醒へ

カテゴリ:高校・ユース・その他

森田将義

2018年06月13日

「取り戻すまでに時間がかかった」という昨年の悔しさを乗り越え…

京都U-15出身の久乗。高校入学に身体が出来上がり、今季はブレイクの予感が漂う注目のタレントだ。(C)TAMURA PHOTO

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 スラリとした身長から左右両足を苦にすることなく、繰り出す足元の技術やパスは一目で違いが分かる。東山高の福重良一監督は同校のOBであるMF鎌田大地(現フランクフルト)について、「指導者が教えられないものを持っていた」と話していたが、今年の10番を背負うFW久乗聖亜(3年)も偉大なる先輩と同じ系統の選手だ。
 
 元々は京都U-15出身だが、同じポジションに先日Jリーグデビューを果たした福岡慎平らがいたことと小柄な身長が仇となり、U-18への昇格は果たせなかった。「成長して、皆を驚かせよう」(久乗)と選んだ東山高校に入ってからは177センチまで身長が伸びたが、フィジカルの強さは成長に追い付かず。ほかとは違うセンスを持ちながらも、そのすべてを発揮できていたとは言い難い。
 
 出場機会を掴み始めた昨年からは意識的に食べる量を増やし、肉体改造に取り組んでいたが、陽の目を浴びるまでには時間がかかった。昨夏の練習後に行ったミーティング中に貧血で転倒し、顎を粉砕骨折したからだ。流動食での生活を余儀なくされたため、体重が一気に10キロもダウン。体重は何とか1か月で元に戻したが、ピッチから離れた影響は大きく、「正直しんどかったし、自分のプレーを取り戻すまでに時間がかかった」。

 昨冬の選手権予選は準々決勝でライバル・京都橘に敗北。全国行きを逃がしたチーム同様に、久乗自身もブレークの機会を逃がし、悔いの残る一年だったと言える。
 
 高校生活最後の年を迎えた今年は、これまでの鬱憤を晴らすような輝きを見せ続けている。昨年はFW池田昌生(現・福島)に頼る部分も多かったが、「自分がやらないといけないという想いが出てきたので、覚悟を持ってやっている」ことにより、プレーの幅も広がってきた。これまでは「ガツガツタイプではなく、パサータイプの選手」(久乗)だったが、自らのプレーでチームを勝たせるためにシュートへの積極性が出てきたのだ。課題だった運動量にも改善が見られる。相手にとって怖いプレーが増えてきたことにより、徐々にプロのスカウトからも注目されるようになってきた。
 
「昨年も試合に出させてもらいながら全国に行けなかったので、今年こそは自分が軸になって先生やスタッフを全国に連れていきたい」。意気込み十分で挑んだインターハイ予選では、随所で違いを見せるプレーを披露し、6年ぶりの全国出場に導いた。自信たっぷりでビッグマウスだった鎌田とは違い、謙虚な発言が多くまだ自信なさげな雰囲気も見られるが、”NEXT鎌田”になり得る可能性は十分。インターハイは、その名を全国に轟かせるチャンスだ。

取材・文●森田将義(フリーライター)
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