迷った時は原点に戻る、慎重なジダン。
ジダンとシメオネ、クラブのレジェンドというだけでなくチームのプレースタイルをも代表するような2人の顔合わせは、今週末4月8日(日)のマドリー・ダービーで最後かもしれない。
先に退団の噂があったのはシメオネの方だった。2020年までの契約期間を本人の希望で2018年に短縮し去就が注目されていたが、昨年9月に改めて2020年まで契約を更新し、腰を据えてアトレティコ・マドリーの指揮を執ることになった。
とはいえ、一抹の不安がよぎるのは、クラブの彼へのバックアップ体制が揺らいでいるところ。先の冬の移籍市場でカラスコ、トニ・モヤ、ガイタン、アウグスト・フェルナンデス、ビエットと準レギュラー級がごっそり抜け、選手登録枠25人より6人も少ない19人での戦いを強いられているのだ。これがシメオネの意向だったとは思えないから、シーズン終了後フロントとの間にひと悶着あってもおかしくない。
一方、ジダンの方は会見に出る度に去就についての質問が飛ぶ状態になっている。クラブ内部事情に詳しい記者によると「今季限りでの退団を決意している」。彼が見据えているのはフランス代表監督の座だという。確かにレアル・マドリーでCLを連覇しクラブレベルで頂点を極めた彼がステップアップするとすれば、もう祖国の代表監督しか残っていない。ベストの選手を選択しベストの布陣で気持ち良くプレーさせる、というマネージャータイプの監督(レアル・マドリー監督からスペイン代表監督になったデル・ボスケを思い出させる)であるジダンには適職でもある。
モウリーニョやグアルディオラの足取りを見ればわかる通り、監督のサイクルは3年と言われる。タイトルを獲得し目標を達成する度に違う環境で自分を試してみたいという野心は、名監督になるには不可欠のものなのだ。今週末のマドリー・ダービーを、両監督の次のステップを念頭に置きながら見ていきたい。
まず、ジダンの「次」とは何か? それはカリスマを生かしたマネジメント能力を極めることだろう。
超一流ゆえのエゴがぶつかり合う“世界一やっかいなロッカールーム”と呼ばれる選手たちをジダンは選手時代の威光で平伏させ、ソフトな人当りでうるさいマスコミを黙らせた。戦術面では、カゼミーロをアンカーに置き、モドリッチとクロースをダブルゲームメーカーに配してCBコンビ、GKと合わせて6人で守り、5人(両SB+3トップあるいはSB+トップ下+2トップ)で攻める、というベストの攻守バランスを見出したことが最大の功績である。
アトレティコ・マドリー戦でも6人は不動(ナバス、ヴァランヌ、セルヒオ・ラモス、カゼミーロ、モドリッチ、クロース)、両SBもカルバハルとマルセロで決まり、3トップ(C・ロナウド、ベンゼマ、ベイル)なのか、ベイルの代わりにイスコを入れた2トップ+トップ下なのか、だけが戦術バリエーションになる。
控えのアセンシオ、L・バスケス、バジェホもここにきて調子を上げている。誰を先発させどこで交代させるかという采配にも注目したい。とはいえ、迷った時は原点に戻る、という慎重な性格からして策を弄せず、大らかに受ける立場で試合に臨むだろうと予想する。
先に退団の噂があったのはシメオネの方だった。2020年までの契約期間を本人の希望で2018年に短縮し去就が注目されていたが、昨年9月に改めて2020年まで契約を更新し、腰を据えてアトレティコ・マドリーの指揮を執ることになった。
とはいえ、一抹の不安がよぎるのは、クラブの彼へのバックアップ体制が揺らいでいるところ。先の冬の移籍市場でカラスコ、トニ・モヤ、ガイタン、アウグスト・フェルナンデス、ビエットと準レギュラー級がごっそり抜け、選手登録枠25人より6人も少ない19人での戦いを強いられているのだ。これがシメオネの意向だったとは思えないから、シーズン終了後フロントとの間にひと悶着あってもおかしくない。
一方、ジダンの方は会見に出る度に去就についての質問が飛ぶ状態になっている。クラブ内部事情に詳しい記者によると「今季限りでの退団を決意している」。彼が見据えているのはフランス代表監督の座だという。確かにレアル・マドリーでCLを連覇しクラブレベルで頂点を極めた彼がステップアップするとすれば、もう祖国の代表監督しか残っていない。ベストの選手を選択しベストの布陣で気持ち良くプレーさせる、というマネージャータイプの監督(レアル・マドリー監督からスペイン代表監督になったデル・ボスケを思い出させる)であるジダンには適職でもある。
モウリーニョやグアルディオラの足取りを見ればわかる通り、監督のサイクルは3年と言われる。タイトルを獲得し目標を達成する度に違う環境で自分を試してみたいという野心は、名監督になるには不可欠のものなのだ。今週末のマドリー・ダービーを、両監督の次のステップを念頭に置きながら見ていきたい。
まず、ジダンの「次」とは何か? それはカリスマを生かしたマネジメント能力を極めることだろう。
超一流ゆえのエゴがぶつかり合う“世界一やっかいなロッカールーム”と呼ばれる選手たちをジダンは選手時代の威光で平伏させ、ソフトな人当りでうるさいマスコミを黙らせた。戦術面では、カゼミーロをアンカーに置き、モドリッチとクロースをダブルゲームメーカーに配してCBコンビ、GKと合わせて6人で守り、5人(両SB+3トップあるいはSB+トップ下+2トップ)で攻める、というベストの攻守バランスを見出したことが最大の功績である。
アトレティコ・マドリー戦でも6人は不動(ナバス、ヴァランヌ、セルヒオ・ラモス、カゼミーロ、モドリッチ、クロース)、両SBもカルバハルとマルセロで決まり、3トップ(C・ロナウド、ベンゼマ、ベイル)なのか、ベイルの代わりにイスコを入れた2トップ+トップ下なのか、だけが戦術バリエーションになる。
控えのアセンシオ、L・バスケス、バジェホもここにきて調子を上げている。誰を先発させどこで交代させるかという采配にも注目したい。とはいえ、迷った時は原点に戻る、という慎重な性格からして策を弄せず、大らかに受ける立場で試合に臨むだろうと予想する。