本田監督は「本当に頼もしくなって来た」と目を細める。
[高校サッカー選手権準決勝]流経大柏 1-0 矢板中央/1月6日/埼玉
中盤の底に君臨する背番号4は、本田裕一郎監督を始め、選手たちからも絶大な信頼を得ている。
「(宮本)優太は替えの利かない存在になって来たね。本当に頼もしくなって来た」
指揮官がこう目を細めるのは、的確なコーチングとリーダーシップで精神的支柱となりながらも、豊富な運動量と戦術理解度の高さを駆使して、中盤のリンクマンとして機能し続けているためだ。それ故に今年のチームは、ボランチの組み合わせは『宮本優と◯◯』という図式で変化をして来た。
インターハイでは守備能力が高く、アンカーとしてのプレーができる宮本泰晟と組み、このコンビが不動になるかと思われたが、夏以降に宮本泰が調子を落としたことで、MF菊地泰智、丹沢翔吾らともコンビを組んだ。
結果的には宮本泰が復調し、インターハイコンビで落ち着いたが、その間に宮本優が好不調の波がない、常に安定したパフォーマンスを発揮していたからこそ、選手権予選を3年ぶりに制することができた。また、プリンスリーグ関東でも最後に3連勝を飾って2位に食い込み、プレミア参入戦でも勝利して来季のプレミアリーグ昇格を勝ち取れたのだ。
この間でもし宮本優が不調に陥っていたら、チームの結果は大きく変わっていたかもしれない。それほど大きな存在だった。
「僕はそこまで上手い選手じゃないし、僕より上手い選手は沢山いる。でも、そのなかで監督は僕を信じて使い続けてくれるので、それに応えないといけないと思っています」
こうした真摯な姿勢もあり、チームではキャプテンを任されている。前述したようにプレーだけでなく、精神的にもチームの大黒柱となっている。その本領を発揮したのが、矢板中央との準決勝だった。
今大会で不動のコンビを組み続けた宮本泰が疲労の影響もあってか、いつものような激しい守備や素早いセカンドボールへの反応ができず、ポジションもズルズルと下がってしまっていた。宮本優はその異変を感じ取ると、「今日は僕がCBやサイドバックのカバーリングを意識的に増やそうと思った」と宮本泰の役割を自らが引き受けて、守備のバランスを支えるプレーに徹した。
「泰晟が疲れている分、僕は動けるので、周りに『突っ込んで行って良いよ、俺が全部カバーをするから』と。その分、右サイドバックの西尾(颯大)には『泰晟のカバーの協力を頼む』と伝えました。臨機応変に対応できたと思います」
試合後、そう胸を張ったように、宮本泰の分も働いた。瀬戸山俊と関川郁万のCBコンビがいつもより果敢に前に出てインターセプトやプレスを狙う動きに合わせて、宮本優が後ろのスペースを埋めて守備のバランスを保ったのだ。
次の舞台はファイナル。勝っても負けても高校最後の試合だ。キャプテンとして、流経大柏サッカーの申し子として。宮本優は決勝に向けてこう意気込んだ。
「前橋育英のことは知り尽くしているし、弱点も頭のなかに浮かんでいるので、良いイメージを持って臨みたい。まだ僕はゴールを決めていないし、ボール回収率が低い試合もあるので、最後はしっかりと最高のパフォーマンスをしたい」
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
中盤の底に君臨する背番号4は、本田裕一郎監督を始め、選手たちからも絶大な信頼を得ている。
「(宮本)優太は替えの利かない存在になって来たね。本当に頼もしくなって来た」
指揮官がこう目を細めるのは、的確なコーチングとリーダーシップで精神的支柱となりながらも、豊富な運動量と戦術理解度の高さを駆使して、中盤のリンクマンとして機能し続けているためだ。それ故に今年のチームは、ボランチの組み合わせは『宮本優と◯◯』という図式で変化をして来た。
インターハイでは守備能力が高く、アンカーとしてのプレーができる宮本泰晟と組み、このコンビが不動になるかと思われたが、夏以降に宮本泰が調子を落としたことで、MF菊地泰智、丹沢翔吾らともコンビを組んだ。
結果的には宮本泰が復調し、インターハイコンビで落ち着いたが、その間に宮本優が好不調の波がない、常に安定したパフォーマンスを発揮していたからこそ、選手権予選を3年ぶりに制することができた。また、プリンスリーグ関東でも最後に3連勝を飾って2位に食い込み、プレミア参入戦でも勝利して来季のプレミアリーグ昇格を勝ち取れたのだ。
この間でもし宮本優が不調に陥っていたら、チームの結果は大きく変わっていたかもしれない。それほど大きな存在だった。
「僕はそこまで上手い選手じゃないし、僕より上手い選手は沢山いる。でも、そのなかで監督は僕を信じて使い続けてくれるので、それに応えないといけないと思っています」
こうした真摯な姿勢もあり、チームではキャプテンを任されている。前述したようにプレーだけでなく、精神的にもチームの大黒柱となっている。その本領を発揮したのが、矢板中央との準決勝だった。
今大会で不動のコンビを組み続けた宮本泰が疲労の影響もあってか、いつものような激しい守備や素早いセカンドボールへの反応ができず、ポジションもズルズルと下がってしまっていた。宮本優はその異変を感じ取ると、「今日は僕がCBやサイドバックのカバーリングを意識的に増やそうと思った」と宮本泰の役割を自らが引き受けて、守備のバランスを支えるプレーに徹した。
「泰晟が疲れている分、僕は動けるので、周りに『突っ込んで行って良いよ、俺が全部カバーをするから』と。その分、右サイドバックの西尾(颯大)には『泰晟のカバーの協力を頼む』と伝えました。臨機応変に対応できたと思います」
試合後、そう胸を張ったように、宮本泰の分も働いた。瀬戸山俊と関川郁万のCBコンビがいつもより果敢に前に出てインターセプトやプレスを狙う動きに合わせて、宮本優が後ろのスペースを埋めて守備のバランスを保ったのだ。
次の舞台はファイナル。勝っても負けても高校最後の試合だ。キャプテンとして、流経大柏サッカーの申し子として。宮本優は決勝に向けてこう意気込んだ。
「前橋育英のことは知り尽くしているし、弱点も頭のなかに浮かんでいるので、良いイメージを持って臨みたい。まだ僕はゴールを決めていないし、ボール回収率が低い試合もあるので、最後はしっかりと最高のパフォーマンスをしたい」
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)