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【小宮良之の日本サッカー兵法書】武器は必要だが、それを有効とする土台はでき上がっているか!?

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年11月22日

木を見て森を見ず――

不適当なシチュエーションでひとつの武器に固執した結果、己の首を絞めてしまったブラジル戦。日本には臨機応変さと正確な判断力が求められる。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 先日、ルポ取材のため、スペイン・バスクで数日間を過ごした。
 
 現地では、林業、建築業、畜産業、鉱業、漁業など、その地域に根付いてきた生業が、スポーツに結び付いた様子を追った。巨石を持ち上げる競技や斧で丸太を削る競技、ボートを早く漕ぐ競技は想像が付くかも知れないが、さらに芝を刈る速さを競ったり、牛乳瓶を持って競走したりというのもあり、とても興味深かった。
 
「日常的に競うのが好きな民族性がある」という話だった。
 
 300万人に満たないバスク人によるクラブが、世界最高峰リーガ・エスパニョーラの1部リーグに4つも在籍し、多くの優秀な選手を育てているのは、健全に競技者を育てる土壌があるからだろう。
 
 アスレティック・ビルバオは100年間、バスク人のみで戦う「純血主義」を貫き、バルセロナ、レアル・マドリーと並んで、2部リーグに降格がしたことがないクラブのひとつである。
 
 レアル・ソシエダは先発選手の半数以上が下部組織出身者で、欧州のトップクラブでは随一の比率。オサスナは現在、2部にいるが、ハビ・マルティネス(バイエルン)、ナチョ・モンレアル(アーセナル)、セサル・アスピリクエタ(チェルシー)、ミケル・メリーノ(ニューカッスル)など、多くの選手を欧州のビッグクラブに送り込んでいる。
 
 そして指導者も、勝利のための戦術を運用する腕に長ける。スペイン代表のフレン・ロペテギ、パリ・サンジェルマンのウナイ・エメリ、そして東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナなどは、堅実な結果を叩き出している。
 
 バルサのエルネスト・バルベルデはエストレマドゥーラ出身だが、幼少期からバスクで育っていて、「実直な働き者でバスク人よりバスク人」といわれる人物である。
 
 今回の取材では、現地のバスク人サッカー指導者たちと交流を持つ機会があった。
 
「サッカーに特効薬はないよ。ベースを上げるしかない。バスクではそうやって、土壌を作り、愚直な選手を育ててきた」
 
  50代後半のバスク人指導者はそう言ってから、眉をひそめた。
 
「でも最近は、指導者がプレーを細分化しすぎている。木を見て森を見ず、というのか……。例えば、『トランジッション(切り替え)』が大事だと言う。そうなると、守りから攻めの切り替えの練習ばかりをする。しかし、そんなものに何の意味もない」
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