「相手DFは守りにくいのではないでしょうか」
クラブ史上初のJ1昇格が決定するかもしれない――。そんな重要な日を明日、V・ファーレン長崎が迎える。現在、勝点74でJ2リーグ2位。2試合を残して3位の名古屋グランパス、4位のアビスパ福岡(ともに同72)とは勝点差2のため、「両チームが引き分け以下で長崎が勝利」という条件で悲願達成となる。
しかも名古屋と福岡は14時、長崎は19時のキックオフ。ライバルたちの試合結果を確認してから臨む難しいゲームだ。もし彼らが勝っていれば一時的に逆転を許しての必勝の戦いとなり、昇格条件が整っていても勝利だけが求められてしまう。
だが、不安を吹き飛ばしてくれる長崎には頼れるストライカーがいる。今年1月にスペインから襲来した“黒船”、ファン・マニエル・デルガド・リョリア。登録名はファンマ。ここまでチームトップの11得点を記録している。
インタビューでは「好調の要因は高木(琢也)監督を信頼してプレーできていること」「日本へのスムーズな適応は監督のおかげ。アドバイスをしてくれ、トレーニングでのフォローも助かっている」と指揮官への厚い信頼を口にしていた。
彼と対面した時に圧倒されたのが、188cm・80kgという体躯だ。想像していた以上に“大きく”感じる。タイミングを見て「フィジカル面ばかりが注目されがちだが……」と話題を向けると「確かに」と笑ってこう続けた。
「私を見た全員が、まずは身体の大きさに注目するでしょう。そして、足もとの技術はないとも考えるはずです。ただ、個人的にはテクニックに自信はあるんです。ボールコントロールは悪くないし、パスを出すのも好き。ドリブルで相手陣に侵入することも不得手ではありません」
40節の水戸戦で飯尾竜太朗のゴールを演出し、38節の名古屋戦で起死回生の同点弾を沈めたのは持ち味であるヘディングからだったが、ファンマは人々が想像するような「ポストプレーヤー」の枠に収まらない。時に巧みなスルーパスを通し、時に果敢に相手DFへ向かって仕掛けていく。
強さだけでなく、ハイレベルな技術を兼備する男が相手チームにとって厄介な存在であることに変わりはない。ただ、ファンマに求められるのはチャンスメーカーではなく、フィニッシャーとしての役割である。ファンマも「第一は得点」と自覚している。本人は、ここ一番で得点を奪取できている要因をどう分析しているのだろうか。
「まずは得点への執着心が現在の結果につながる大きな要素です。あとは、苦手なフィニッシュワークもありませんからね。ヘディングだけにゴールパターンが偏っているわけではないので、相手DFは守りにくいのではないでしょうか」
にこやかに受け答えをしながらも、目の奥からはチームの命運を握るFWとしてのプライドが窺える。「ゴール前ではどんなボールにも対応できる自信はあります」。柔和な表情から吐き出される言葉に、力がこもる。
彼がゴールネットを揺らせば、J1昇格へと着実に近づく。「FWはいろいろな人に幸福を届けられるポジションだと思っています」。ファンマが歓喜を、幸せを長崎の地に運んでくれることを期待したい。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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しかも名古屋と福岡は14時、長崎は19時のキックオフ。ライバルたちの試合結果を確認してから臨む難しいゲームだ。もし彼らが勝っていれば一時的に逆転を許しての必勝の戦いとなり、昇格条件が整っていても勝利だけが求められてしまう。
だが、不安を吹き飛ばしてくれる長崎には頼れるストライカーがいる。今年1月にスペインから襲来した“黒船”、ファン・マニエル・デルガド・リョリア。登録名はファンマ。ここまでチームトップの11得点を記録している。
インタビューでは「好調の要因は高木(琢也)監督を信頼してプレーできていること」「日本へのスムーズな適応は監督のおかげ。アドバイスをしてくれ、トレーニングでのフォローも助かっている」と指揮官への厚い信頼を口にしていた。
彼と対面した時に圧倒されたのが、188cm・80kgという体躯だ。想像していた以上に“大きく”感じる。タイミングを見て「フィジカル面ばかりが注目されがちだが……」と話題を向けると「確かに」と笑ってこう続けた。
「私を見た全員が、まずは身体の大きさに注目するでしょう。そして、足もとの技術はないとも考えるはずです。ただ、個人的にはテクニックに自信はあるんです。ボールコントロールは悪くないし、パスを出すのも好き。ドリブルで相手陣に侵入することも不得手ではありません」
40節の水戸戦で飯尾竜太朗のゴールを演出し、38節の名古屋戦で起死回生の同点弾を沈めたのは持ち味であるヘディングからだったが、ファンマは人々が想像するような「ポストプレーヤー」の枠に収まらない。時に巧みなスルーパスを通し、時に果敢に相手DFへ向かって仕掛けていく。
強さだけでなく、ハイレベルな技術を兼備する男が相手チームにとって厄介な存在であることに変わりはない。ただ、ファンマに求められるのはチャンスメーカーではなく、フィニッシャーとしての役割である。ファンマも「第一は得点」と自覚している。本人は、ここ一番で得点を奪取できている要因をどう分析しているのだろうか。
「まずは得点への執着心が現在の結果につながる大きな要素です。あとは、苦手なフィニッシュワークもありませんからね。ヘディングだけにゴールパターンが偏っているわけではないので、相手DFは守りにくいのではないでしょうか」
にこやかに受け答えをしながらも、目の奥からはチームの命運を握るFWとしてのプライドが窺える。「ゴール前ではどんなボールにも対応できる自信はあります」。柔和な表情から吐き出される言葉に、力がこもる。
彼がゴールネットを揺らせば、J1昇格へと着実に近づく。「FWはいろいろな人に幸福を届けられるポジションだと思っています」。ファンマが歓喜を、幸せを長崎の地に運んでくれることを期待したい。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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