【英国人コラム】CL初の快挙も? イングランド・サッカーは欧州で再び権勢を握れるか

カテゴリ:ワールド

スティーブ・マッケンジー

2017年11月07日

長い氷河期から目覚める時は近い。

バイエルンをPK戦の末に破って欧州の頂きに立った2011-12シーズンのチェルシー。この時のような勝負強さが今シーズンのプレミア勢には芽吹きつつある。 (C) Getty Images

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 U-17イングランド代表は、10月にインドで開催されたワールドカップを制して、世界の頂点に立った。
 
 準決勝でブラジルを破って、決勝でもスペインに5-2と逆転勝ちを収めるなど、“ヤング・ライオンズ”が勝利に相応しいチームであったのは言うまでもない。彼らのスペシャルなパフォーマンスに、英国内のメディアは「イングランドのフットボールが変わるかもしれない」と期待感を込めている。
 
 そんな俊英たちの躍動に対する興奮が冷めやらぬなか、チャンピオンズ・リーグ(CL)でもプレミアリーグのチームが例年以上の強さを見せている。出場5チーム中4チームがグループステージ首位に立ち、そのうちトッテナムとマンチェスター・シティが2節を残してグループステージ突破を決めたのだ。
 
 残りのマンチェスター・ユナイテッド、リバプール、チェルシーも11月21日と22日に行なわれる5節で勝利すれば、決勝トーナメント進出を決められる好位置につけている。1国から5チームがグループステージに進出すれば、それはCLの歴史において初のこととなる。
 
 プレミアのクラブが最後に欧州の頂点に立ったのは、2011-12シーズンのチェルシーが最後。さらに過去5シーズンのCLにおいて、プレミアリーグ勢で準々決勝に進出したチームの総数はわずか4。スペインの15、ドイツの9、フランスの6と、ライバル国に水を空けられ、昨シーズンもベスト8に残ったのは初出場のレスターだけだった。
 
 このように今シーズン、プレミア勢がかつてのような強さを取り戻しつつある要因として挙げられるのは、国内での競争力が近年高まっていることが考えられる。
 
 一時はマンチェスター・U、マンチェスター・C、リバプール、アーセナル、チェルシーの“ビッグ5”が上位戦線を独占する時代があったが、今は違う。莫大な放映権を元手に全チームが力をつけている。アーセナルを退け、昨シーズン2位に入ってCL出場権を獲得したトッテナムの存在は、それを象徴するものだ。
 
 とはいえ、そういったクラブの隆盛に前述のヤング・ライオンズたちが絡めていないという現実もある。代表戦で実力を示した彼らも、クラブチームでは列強国の主力級たちからポジションを奪えずにいる。
 
 今後、彼らが研鑽を積んでクラブチームの主力となり、ひいては1966年のワールドカップ優勝以来、メジャータイトルに縁遠く、英国内で影が薄まっているA代表に何らかの栄冠をもたらすことができれば、イングランド・サッカー界も、長い氷河期から目覚めるに違いない。そんな日が訪れることを心待ちにしている。

文:スティーブ・マッケンジー

【著者プロフィール】
STEVE MACKENZIE/1968年6月7日、ロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースチームでプレー。ウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝いた。
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