「理想よりも、目の前にある現実を見据えたチーム作り」
ロシア・ワールドカップ出場を決めた日本代表。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「縦に速いサッカー」や「デュエル」を強調し、結果を残したが、一方で日本人選手の特性を軽視した戦い方に疑問を呈する声もある。彼の志向するスタイルは、日本サッカーの未来にとって有益なのか。スポーツライターの二宮寿朗氏に見解をいただいた。
――◆――◆――
歴代の日本代表監督とは異なるアプローチである。
ヴァイット・ハリルホジッチ監督は、従来の監督たちのような「積み上げタイプ」ではなく、言わば「一戦一型タイプ」。作戦面、コンディション面を判断基準にして、試合ごとに大枠のリストからメンバーを選出していくやり方だ。結果、グループ1位でワールドカップの出場権をもぎ取ったのだから、彼の手法は評価されて然るべきと考える。
理想よりも、目の前にある現実を見据えたチーム作り――。
イビチャ・オシム監督が組織力、敏捷性、技術力といった日本人選手の特長を活かす「日本化」を提唱して以降、その後を継いだ岡田武史監督やアルベルト・ザッケローニ監督も、それぞれ方法論、ベクトルは違うとはいえ、日本オリジナルの戦い方を模索してきた。しかし、理想を追い求めた結果、ブラジル・ワールドカップは惨敗に終わる。
ここでリアリストが登場したのは、なんとなく運命的にも思えてくる。長所を伸ばすよりも、短所を引き上げる。ハリルホジッチはフィジカルやデュエルの質を高め、世界基準に近づけようとしてきた。見倣うべきは強豪国よりも中堅国。昨年視察したEURO2016でも、彼は印象深かったチームとして、アイスランド代表を挙げている。
「アイスランドは能力的に決して高いとは言えない。誰もイングランドに勝つなどと思っていなかったはずだ。それでも勇敢に全力で戦い、組織的なスピリットは非常に高かった。 彼らの野心と準備には学ぶ点がある。現代フットボールでは、良い守備がないと強豪国には勝てない。EUROが我々にそう教えてくれた」
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歴代の日本代表監督とは異なるアプローチである。
ヴァイット・ハリルホジッチ監督は、従来の監督たちのような「積み上げタイプ」ではなく、言わば「一戦一型タイプ」。作戦面、コンディション面を判断基準にして、試合ごとに大枠のリストからメンバーを選出していくやり方だ。結果、グループ1位でワールドカップの出場権をもぎ取ったのだから、彼の手法は評価されて然るべきと考える。
理想よりも、目の前にある現実を見据えたチーム作り――。
イビチャ・オシム監督が組織力、敏捷性、技術力といった日本人選手の特長を活かす「日本化」を提唱して以降、その後を継いだ岡田武史監督やアルベルト・ザッケローニ監督も、それぞれ方法論、ベクトルは違うとはいえ、日本オリジナルの戦い方を模索してきた。しかし、理想を追い求めた結果、ブラジル・ワールドカップは惨敗に終わる。
ここでリアリストが登場したのは、なんとなく運命的にも思えてくる。長所を伸ばすよりも、短所を引き上げる。ハリルホジッチはフィジカルやデュエルの質を高め、世界基準に近づけようとしてきた。見倣うべきは強豪国よりも中堅国。昨年視察したEURO2016でも、彼は印象深かったチームとして、アイスランド代表を挙げている。
「アイスランドは能力的に決して高いとは言えない。誰もイングランドに勝つなどと思っていなかったはずだ。それでも勇敢に全力で戦い、組織的なスピリットは非常に高かった。 彼らの野心と準備には学ぶ点がある。現代フットボールでは、良い守備がないと強豪国には勝てない。EUROが我々にそう教えてくれた」