1984年、因縁の対決は中傷合戦から国王の面前での暴力沙汰へ
チャンピオンズ・リーグ敗退に続き、4月16日のコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)決勝でも宿敵レアル・マドリーの軍門に下ったバルセロナは、現在リーガでも3位に沈んでいることもあり、2007‐08シーズン以来の無冠が濃厚となった。
今シーズンはネイマールを獲得するなど、陣容はますます豪華になっているのだが、近年はその完璧だったサッカーに、綻びがたびたび生じるなど、ひとつのサイクルの終焉を感じさせることが少なくない。
と、バルサの展望については今後に譲るとして、コパ・デル・レイ決勝で敗れたバルサといえば、30年前となる1984年、アスレティック・ビルバオとの一戦が思い出される。0-1でバルサがバスク人のクラブの軍門に下ったこの戦いは、決して名勝負と呼べる内容ではなかった。話題になったのは、この試合後に前代未聞の大乱闘劇が展開されたからだ。
84年5月5日、マドリードのサンチャゴ・ベルナベウで対峙した両チームは、以前から因縁が深く、日頃から汚い言葉を使って激しい舌戦を展開する犬猿の仲にあった。82年に当時の史上最高額である700万ドル超の移籍金でバルサに加入したディエゴ・マラドーナは、83年9月にビルバオのアンドニ・ゴイコエチェアに背後から悪質なタックルを受けて長期離脱を余儀なくされ、それも原因となり、バルサは勝ち点わずか1差でビルバオにリーガ王者の座をさらわれていた。
ビルバオ・サポーターがスタンドの大半を埋めた試合は、序盤に先制したビルバオの牙城を、バルサが最後まで崩すことができず、再び涙を飲んだ。試合中は“天敵”ゴイコエチェアからの激しいチェックとビルバオ・サポーター8万人からの猛烈なブーイングで苛立ち続けたマラドーナ。さらに試合後、悲嘆に暮れていたところへゴイコエチェアから挑発のジェスチャーを受けたことで、ついに我慢の限界に達してしまった。
ふたりの争いに両選手が加勢すると、ピッチ上では選手やスタッフが入り乱れての蹴り合い、殴り合いが始まった。倒れた選手やスタッフが担架で運ばれ、マラドーナも全治2週間の怪我を負った。厳重な警戒によって観客がピッチに飛び出すことはできなかったものの、60人以上のサポーターが押し倒されて救護室へ。さらに、ヒートアップしたスタンドからの投下物が容赦なくピッチ上の人々の身体を傷つけ、カメラマンもこの巻き添えを食らったのだった。
国王杯というだけに、スペイン国王も臨席していたが、その“御前試合”で両チームが演じた醜悪な乱闘劇。マラドーナ、ゴイコエチェアら6選手には出場停止3か月の厳罰が下ったが、顔を潰された形となったバルサ会長のホセ・ルイス・ヌニェスの怒りは収まらず、以前から折り合いの悪かったマラドーナの放出を決意。ここからバルサは新たな時代に突入していくのだった。
――◆――◆――
30年後、宿敵相手に国王杯のタイトルを獲り損なったバルサは、リオネル・メッシが、ネイマールが、そしてすべての選手やスタッフが、悔しさと悲しみを顔に浮かべながらも、穏やかにマドリーの戴冠を見つめ、みずからの敗北を素直に受け入れていた。
今シーズンはネイマールを獲得するなど、陣容はますます豪華になっているのだが、近年はその完璧だったサッカーに、綻びがたびたび生じるなど、ひとつのサイクルの終焉を感じさせることが少なくない。
と、バルサの展望については今後に譲るとして、コパ・デル・レイ決勝で敗れたバルサといえば、30年前となる1984年、アスレティック・ビルバオとの一戦が思い出される。0-1でバルサがバスク人のクラブの軍門に下ったこの戦いは、決して名勝負と呼べる内容ではなかった。話題になったのは、この試合後に前代未聞の大乱闘劇が展開されたからだ。
84年5月5日、マドリードのサンチャゴ・ベルナベウで対峙した両チームは、以前から因縁が深く、日頃から汚い言葉を使って激しい舌戦を展開する犬猿の仲にあった。82年に当時の史上最高額である700万ドル超の移籍金でバルサに加入したディエゴ・マラドーナは、83年9月にビルバオのアンドニ・ゴイコエチェアに背後から悪質なタックルを受けて長期離脱を余儀なくされ、それも原因となり、バルサは勝ち点わずか1差でビルバオにリーガ王者の座をさらわれていた。
ビルバオ・サポーターがスタンドの大半を埋めた試合は、序盤に先制したビルバオの牙城を、バルサが最後まで崩すことができず、再び涙を飲んだ。試合中は“天敵”ゴイコエチェアからの激しいチェックとビルバオ・サポーター8万人からの猛烈なブーイングで苛立ち続けたマラドーナ。さらに試合後、悲嘆に暮れていたところへゴイコエチェアから挑発のジェスチャーを受けたことで、ついに我慢の限界に達してしまった。
ふたりの争いに両選手が加勢すると、ピッチ上では選手やスタッフが入り乱れての蹴り合い、殴り合いが始まった。倒れた選手やスタッフが担架で運ばれ、マラドーナも全治2週間の怪我を負った。厳重な警戒によって観客がピッチに飛び出すことはできなかったものの、60人以上のサポーターが押し倒されて救護室へ。さらに、ヒートアップしたスタンドからの投下物が容赦なくピッチ上の人々の身体を傷つけ、カメラマンもこの巻き添えを食らったのだった。
国王杯というだけに、スペイン国王も臨席していたが、その“御前試合”で両チームが演じた醜悪な乱闘劇。マラドーナ、ゴイコエチェアら6選手には出場停止3か月の厳罰が下ったが、顔を潰された形となったバルサ会長のホセ・ルイス・ヌニェスの怒りは収まらず、以前から折り合いの悪かったマラドーナの放出を決意。ここからバルサは新たな時代に突入していくのだった。
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30年後、宿敵相手に国王杯のタイトルを獲り損なったバルサは、リオネル・メッシが、ネイマールが、そしてすべての選手やスタッフが、悔しさと悲しみを顔に浮かべながらも、穏やかにマドリーの戴冠を見つめ、みずからの敗北を素直に受け入れていた。

今では考えられないほどの悪質なタックルやチャージの連続、観客からの憎悪に満ちた非難・中傷の声、そして試合後のスポーツマンシップを欠いた行為に、(当時は)我慢強かったマラドーナもついにキレてしまった。 (C) Getty Images
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