「浦和サポーターの温かい気持ちに感激した」。

試合後、浦和サポーターが緑のプレートを掲げてシャペコエンセの健闘を称えると、それに応じた4人の選手がユニホームをスタンドに投げ入れる――。サッカーという世界で最も人気のあるスポーツのポジティブな面を象徴する、美しい光景だった。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)
そんな試合の後に強い印象を残したのが、浦和サポーターとシャペコエンセ・イレブンによる“交流”だ。ゴール裏に陣取った浦和ファンが、「アミーゴ、今度はクラブワールドカップで会おう」というポルトガル語の巨大バナーを垂らし、あらかじめ用意していた数千もの緑のプレート(緑はシャペコエンセのクラブカラー)を一斉に頭上に掲げてみせたのである。
シャペコエンセの選手たちは、すぐさまこのメッセージに反応。CFウェリントン・パウリスタら4選手がゴール裏へ駆け寄り、ユニホームを脱いでスタンドへ投げ入れた。すると、浦和ファンから拍手と歓声が沸き起こった。
勝ったチームのサポーターが、相手を揶揄したり野次を浴びせたりするのは、よくある光景だ。しかし、このような真心のこもったエールを送るのはかなり珍しい。
同時に、選手たちが対戦相手のサポーターの行動にこれほどダイレクトに応えることも、さほど多くはない。サッカーという世界で最も人気のあるスポーツのポジティブな面を象徴する、美しい光景だった。
この一連の出来事は、ブラジル国内でも報じられた。あるシャペコエンセの女性サポーターは、取材した記者にこう伝えている。
「浦和レッズのサポーターの温かい気持ちに感激した。私たちからの感謝の気持ちを、できれば彼らに橋渡しして」
シャペコエンセの、スペイン(バルセロナ戦)と日本でのひと夏の冒険は終わった。これから約30時間かけて地球を半周して帰国すると、長旅の疲れと12時間のジェットラグを癒す間もなく、国内での超過密日程をこなさなければならない。
それでも、「クラブとチームを同時に再建する」という世界スポーツ史上例のない困難なミッションの途上にある選手たちの表情は、充実感に溢れていた。
取材・文:沢田啓明
【著者プロフィール】
さわだ ひろあき/1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。
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