“キャプテン”酒井高徳に可能性を感じた、ファンとのエピソード

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年11月25日

チーム事情によって、求められるキャプテンの資質は異なる。

過去に偉大な選手たちが務めたハンブルクのキャプテンの座を受け継いだ酒井。名誉なことだが、責任は非常に大きい。しかし、本人は気負いはなさそうだ。 (C) Getty Images

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 ドイツでキャプテンというと、飽くなき闘争心を前面に出し、溢れんばかりのバイタリティーで味方を鼓舞し続ける闘将、というイメージがあるかもしれない。
 
 ローター・マテウス、シュテファン・エッフェンベルク、オリバー・カーン、ミヒャエル・バラック……。
 
 時代を築いた名物キャプテンには、存在そのものが力となるだけの影響力があった。流れが悪い時には、チームを引っ張る強烈なパーソナリティーこそが必要だ、と主張する識者は今でも多い。
 
 今シーズンに入ってからキャプテン交代を行ない、そこから調子を掴んだヘルタ・ベルリンのように、刺激を与えることでチームの爆発力を引き上げることを期待する采配も見られたりする。
 
 だが、キャプテンのあり方は、それが絶対ではない。バイエルンでは、真面目さと誠実さと堅実さに象徴されるフィリップ・ラームがキャプテンを務めているように、チーム事情や選手構成によって、最適とされるタイプが異なるのは当然だ。
 
 今回、ハンブルクのマルクス・ギスドル監督は、新キャプテンに酒井高徳を任命した。
 
 クラブは近年、毎年のように不振に喘ぎ、ギリギリで何とか残留を果たすというドタバタを繰り返している。
 
 にもかかわらず、「自分たちは名門」というスーツを脱ぎ去ることができずに、何の根拠もないまま、「今シーズンこそは大丈夫」というフワフワした気持ちが、いつまでたっても見え隠れしている。
 
 確かにシーズン前には、シュツットガルトから快速ドリブラーのフィリップ・コスティッチ、バルセロナから大型タレントのアレン・ハリロビッチ、そしてオリンピック金メダリストのドグラス・サントス(←アトレチコMG)を獲得するなど、動きは見せた。
 
 昨シーズンにプレミアリーグで快進撃を見せたレスターのようなドリームストーリーを想像したファンもいたかもしれない。
 
 だが、上層部を含むクラブ全体の根本的な意識改革もないまま、選手の入れ替えだけで上位浮上が可能なほど、ブンデスリーガは甘くはない。開幕から負けを重ね、監督交代も大きな効果が出ないまま、最下位に沈み込んでいる。
 
 こうした停滞感を払拭するために、ギスドル監督は酒井に白羽の矢を立てた。
 
 酒井が常に見せている、どんな時でも責任感を持って、愚痴ることもなくチームのために走り、戦い続ける姿、些細なミスも見逃さずに積極的に声をかけて修正しようとする姿、苦しい時でも声を出してポジティブな雰囲気を作り出そうとする姿が、象徴となるべきと考えたのだろう。
 
 それは、監督からチームに向けての明確なメッセージだった。
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