11月10日（現地時間）、ロシア・ワールドカップ南米予選が行なわれ、ブラジルは３-０でアルゼンチンを下した。
 
　首位のブラジルが６位のアルゼンチンをホームに迎えた一戦、上位進出を狙う後者はもちろん、前者にとっても２年前のワールドカップ準決勝でドイツに１-７で敗れたミネイロンでの試合ということで、悪夢の記憶を払拭するためにも、勝利が欲しかった。
 
　立ち上がりから、両チームは激しいプレッシャーをかけ合い、相手に攻撃の自由を与えない。失点を避けたいという姿勢を前面に出し、危険な場面ではファウル覚悟のプレーも厭わず、５分にはフェルナンジーニョが早くも警告を受けた。
 
　そんななか、攻撃では個々の技術による突破が唯一の打開手段となり、そこではやはり、ブラジルはネイマール、アルゼンチンはメッシと、バルセロナのスター２人の存在が目立つようになる。
 
　メッシは３分、遠目のFKを直接狙ってファーストシュート、ネイマールはその２分後、左サイドをドリブルで突破してきわどいクロスを入れた。
 
　18分、ペレスがディ・マリアとのパス交換からペナルティーエリア内に侵入する。トラップを乱してシュートは打てなかったが、連係プレーによるチャンスを最初に作ったのはアルゼンチンだった。
 
　しかし、得点はホームチームにもたらされる。24分、右サイドでネイマールのダイレクトパスを受けたコウチーニョが、スピーディーなドリブルで中央に切れ込み、強烈なシュートを叩き込む。ブラジルにとって最初の素早い連係プレーから生まれたゴールだった。
 
　このゴールを境に、ブラジルは余裕を持って試合を進められるようになる。連動した強固な守備でアルゼンチンの攻撃を封じ、ボールを奪うとネイマールを中心に素早く攻める。中盤のR・アウグストやパウリーニョの上がりも的確で、分厚い多重攻撃も可能となった。
 
　対するアルゼンチンは、メッシ、イグアイン、ディ・マリアといった優れたタレントが、それぞれ孤立させられ、苦し紛れのプレーを余儀なくされる。組織力でブラジルに明らかな差を見せ付けられ、それは試合の経過とともに広がっていった。
 
　前半アディショナルタイム、マルセロのスローインからG・ジェズスがドリブルで持ち込んでスルーパス。これを受けたネイマールがGKとの１対１を難なく制してゴール右隅に流し込んだ時、ほぼ勝敗は決したと言っても良かった。
 
　後半、アルゼンチンはアグエロを投入して反撃を試みるも、攻撃に力を注いだ分、守備は手薄となり、そこをブラジルに突かれて、再三、危険な場面を迎えるようになる。
 
　46分にネイマールのクロスをジェズスが合わせ（わずかに枠外）、54分にはパウリーニョがGKロメロをかわしてシュートを放つが、これは相手DFが辛うじてゴールライン上でクリアした。
 
　そして59分、マルセロの左からのクロスを、エリア深くに侵入していたR・アウグストがマイナスに折り返すと、これをパウリーニョがダイレクトで合わせてゴール。決定的な３点目がホームチームにもたらされた。
 
　絶対的な安全圏に入ったブラジルは、攻撃で個々の選手が様々なテクニックやアイデアを披露する余裕ぶり。一方、全く思い通りにプレーできないアルゼンチンは苛立ち、荒いプレーが目立つようになった。
 
　ネイマールや交代出場のフィルミーノらが次々に決定機を得たブラジルに対し、アルゼンチンのチャンスといえば、70分、アグエロが倒されて得た好位置でのFKぐらい。これも、メッシのシュートは力なく、GKアリソンにキャッチされた。
 
　メッシはアディショナルタイム、ドリブルで数人をかわしてシュートまで持ち込んで意地を見せるも、やはりブラジルの分厚い守備にはね返された。
 
　３-０でブラジル勝利。しかし、内容的にはそれ以上の差があり、実際、再三訪れた得点機を活かしていれば、ブラジルは２年前にドイツに献上したのと同じゴール数を挙げることも可能だった。
 
　一方、アルゼンチンは全く良さを見せられず、先月のパラグアイ戦に続いての敗戦。まだ７試合を残しており、ロシア行きの可能性は十分に残しているものの、宿敵に厳しい現実を突きつけられる羽目となった。

◎ロシアW杯南米予選・順位
１位　ブラジル　勝点24
２位　ウルグアイ　勝点23
３位　コロンビア　勝点18
４位　エクアドル　勝点17
５位　チリ　勝点17
６位　アルゼンチン　勝点16
７位　パラグアイ　勝点15
８位　ペルー　勝点14
９位　ベネズエラ　勝点５
10位　ボリビア　勝点４
※11節終了現在