10月29日、高校選手権・埼玉県予選３回戦が行なわれ、インターハイ３位の昌平が今大会初登場。その埼玉栄戦を３－０でモノにし、準々決勝進出を決めた。
 
　やはり注目は、来春のジュビロ磐田入りが内定している針谷岳晃と、同じくサンフレッチェ広島入りが決まった松本泰志のMFコンビだ。

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　この日、埼玉栄は針谷にマンマークをぶつけ、左の松本のドリブルコースをふたりで遮るなど、昌平自慢のコンビを自由にさせないディフェンスを敷いてきた。前半、昌平は快足FW本間椋（３年）が決定機を演出するなど優勢に試合を進めていたものの、球際が激しく、奪ったあとにMF山田陸斗（３年）らがボールを収めて攻め返す埼玉栄を、飲み込むことができなかった。
 
　前半は０－０。それでも、後半に針谷と松本が魅せる。
 
　後半14分、厳しいマークに遭っても確実にキープするなど存在感あるプレーを続けていた針谷が、ペナルティーエリアへ縦パス。MF佐藤大誠（３年）の落としを受けた本間がゴールを射抜く。さらに２－０にリードを広げていた後半29分には、中盤中央で前を向いた針谷が右サイドを走る本間へ正確なパスを通し、その折り返しを松本がゴールヘ流し込んで試合を決定づけた。
 
　藤島崇之監督が「正確性、確実性の話をしすぎた」という松本は積極性を欠いてしまい、ベンチから「弱気になるな!!」と声が飛んでいたほど。シュートを撃てるシーンでもパスを選択してしまうなど、自分の形に持っていけなかった。

　松本本人も「今日は本当になにもしていないので１点取れてラッキーだったかなというくらいの内容」と苦笑いしていたが、それでも、「今年に関しては自分が試合を決めないといけないと思っている。（後半38分に）ＰＫは外しましたけど、チームの３点目を取ることができた。責任を果たせたというのはあります」と、“最低限”の仕事をしたことにホッとした表情。少なからずスロースターターの部分もあるだけに指揮官は心配しておらず、本人も、全試合で結果を出すことを誓っていた。
 
　一方、針谷はハードマークのなかでも、「ああやってくるのは想定内だった。ストレスは結構溜まるんですけど、自分がやらなくなったら終わりだと思っているんで、そこは腐らずにやりました。自分が（マークに）付かれた時は他の人がゲームを作れるんで、得点に関わったり守備で貢献できたりすればいいと思っていた」と、“普段通り”に飄々とプレー。相手の一瞬の隙を突く絶妙パスで２得点を演出し、守備面での貢献度も高かった。加えてインターハイで東福岡を沈めた十八番の直接CKでゴールを狙い、スルーパスで観衆を沸かせるシーンも。しっかりと実力を示して勝利に貢献した。